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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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【リバーサイド王国視点】諜報員からの知らせ

 ハーベスト王国へ調査を送っていた諜報員が帰ってきた。

 諜報員が得た情報では、フラフレがなんらかの酷い扱いを受けていたこと、ハーベスト王国内で『無能聖女が廃棄処分された』という噂が広まっていることまでしか得ることができなかった。

 だが、フォルストたちにはその情報だけでも十分である。

 フォルストとアクアは報告を受け、緊急会議が始まった。

 今までのような平穏な空気がまるでない。


「ふむ、やはり思ったとおりだったか……許せぬ!」

「フラフレ様を廃棄処分だの、無能聖女だのと言っていたそうですね……」

「これで全て納得できた。フラフレ殿を最初に発見したときの服装、衰弱しきった身体、なぜハーベスト王国にいたころの話をしないのかが……」

「まるで昔の陛下そのものですけどね」

「あぁ……」


 フォルストはふと、幼かった自分自身のことを思い出す。

 同じような仕打ちをフラフレも受けていたと知り、怒りを隠しきれずにいた。


「今後、ハーベスト王国とは物資のやり取りはしない」

「向こうから断られる前に、こちらから先手を打つわけですね」

「あぁ。諜報員の報告で雨がずっと降り続いているとも言っていた。おそらくだが……、雨が止むことはないだろう」

「まるでフラフレ様が来る前のリバーサイド王国ですよね……」


 フォルストはふと、雨が降り続いていたころを思い出した。

 作物が育たず、飢えに苦しむ民の姿。

 リバーサイド王国の民が生き抜くためには、ハーベスト王国に頭を下げてでも、法外な金貨を請求されようとも食料を仕入れる必要があった。


 アクアたちへの給金もろくに払えず、金品の大半はハーベスト王国に搾り取られていた。

 だが、フラフレが聖なる力を使ったおかげでリバーサイド王国は救われはじめた。

 フォルストはフラフレに対して、どれだけ感謝すれば良いかわからない。

 そうフォルストは考えると、『廃棄処分』という言葉を平気で使うような国王たちに怒りを覚えている。


「前はあの国で悪天候などと聞いたことがなかった。あの国が今晴れないのは、フラフレ殿が今まで晴れさせていたからだろう。それを廃棄処分と称し荒野に捨てるなど考えられぬ……」

「陛下も廃棄処分されて、ハーベスト王国から追放されたのでしたよね?」

「私の場合は、この国の助けがあったからこそ幸せになることができた。私がなにもせずとも……だ。フラフレ殿のときとは違う」


「むしろそれがあったからこそ、フラフレ様も救われたと思いますけどね。陛下が今の地位にいなければ、フラフレ様は今ごろ……」

「想像するだけでゾッとする……。私ではなく、民がフラフレ殿を救ってくれたと考えるべきだろう」


 今まで怒りの感情を隠しきれなかったフォルストに少しだけ笑みがこぼれた。


「陛下の直感と判断でフラフレ様が今の状況にあることもお忘れなく」

「直感か……。不思議なのだよ。ハーベスト王国から追放されたときも、直感で進んだ道に食べ物や水があり、この国まで自力でたどり着けた。あれは特に奇跡だったな……」

「その割には先日フラフレ様をすっぽんぽんにして放置していたときは、直感がまるで働いていませんでしたよね。それともあえて?」

「違うわっ!」


 アクアはフォルストの盛大なツッコミを聞いてふふっと笑った。


「陛下のいつものツッコミが入ったので私はひと安心しました。このまま怒り任せでハーベスト王国に制裁を加えるのではないかとヒヤヒヤしていましたから」

「さすがにそのようなことは決してしない。さて……、向こうの者たちが力を目的にフラフレ殿を返せというような事態も想定できる。常に監視を続けたほうが良いかもしれん……」

「陛下がフラフレ様と結婚すれば全て解決ですねっ♪」


「展開が早すぎる! フラフレ殿の手に触れるだけでも緊張しているくらいなのだからな……」

「あぁ、そういうところはヘタレ陛下ですからね。裸のフラフレ様の前ではなにもできなかったようですし」

「からかうでないっ!」

「ともあれ、私もフラフレ様とお風呂に入って身体をゴシゴシと洗うようお願いされたときは、毎回ドキドキしています」

「まさか、アクアもフラフレのことを?」


 フォルストが今までで一番の動揺を見せた。

 それを見てアクアは満足そうな顔を浮かべる。


「ふふ……、半分冗談です。フラフレ様のことは大好きですが、ここは陛下にお譲りしますよ。監視と護衛は強化します」

「私のことを毎回からかってきおって……。護衛に関しては真剣に頼む。どうも嫌な予感がする……」

「陛下の嫌な予感は危険ですね……。万全の警戒を心がけます」

「フラフレ殿には無理に隠す必要はない。さすがに違和感に気がつくだろう……」

「ではギリギリまでは黙っておきますね。フラフレ様もいきなり護衛が配属されたら不安になるでしょうから」


 フォルストは予感を外したことがほとんどない。

 アクアは今まで以上にフラフレに対して警備関連を重視することにした。

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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