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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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【ハーベスト王国サイド】晴れたリバーサイド王国

 悪天候の中、馬車はリバーサイド王国へ向かっている。


「ミーリ様。もう間もなくリバーサイド王国の領地です」

「思ったより遠かったですわね」


 ミーリをリバーサイドまで運んでいるのは、かつてフラフレに嫌がらせをして平原に捨てたことがある御者だ。

 ミーリがカーテン越しから、雨の止んだ外を眺める。


「それにしても……。私の聞いた話ではリバーサイド王国って、ハーベスト王国よりも気候が悪いはずですが……」

「王都方面の空は晴れていますね。羨ましいですな。聖女の力も借りずに奇跡的に太陽が出てくるなんて」

「なにを呑気なこと言っているんです? 早く雨が降ってくれなきゃ私の聖なる力を証明出来ないでしょう!」


 ミーリが遠乗りしてまでリバーサイド王国へ来た理由は、聖女としての売名行為のためである。

 晴れたままでは力を示すことができないため、ミーリは少々困っていた。


「心配無用です。私は物資の輸送で何度もこの国へ来たことがありますが、普段は雨ばかり降っています。今日は偶然でしょう」

「それなら良いのですが。せっかくですから王都の観光もしてみたいですわ」

「残念ながらミーリ様が喜びそうな場所など、こんな国にはないかと……。雨続きで崩壊しそうなくらいですから」


 ミーリは御者の話を聞いて愉快そうに笑う。


「それが楽しみなんですよ。私だけの力で、ひとつの国を救って差し上げるんです。どれだけ貧しい国なのか、見ておきたいんですよ」

「なるほど……。そういう意味でしたら様々な場所へご案内できるかと。特に農園は泥まみれの湖のようになっていましたな」

「なるほど、それは面白そうね。是非、行ってみたいですわ」

「かしこまりました。ご期待ください」


 ミーリの期待とは裏腹に、リバーサイド王国へ入った辺りで雨は完全に止んだ。

 王都へ向かって行けばいくほど湿気もなくなっていき、過ごしやすい環境になっていった。


 ♢


 ミーリたちは何日も馬車内で過ごし、ようやくリバーサイド王国の王都までたどり着いた。

 雲ひとつなく、雨が降る気配が全くないほどの快晴だ。

 ミーリは、偶然にしてはおかしい、まるでハーベスト王国で誰かが聖なる力を発動しているかのようだ、と感じた。


「ねぇ、リバーサイド王国には私みたいに優秀な聖女がいるのですか?」

「いえ、聞いたことがございません。そもそも聖女がいたら、以前から天候に困っていなかったはずですから」

「そう……。やはりこの快晴は偶然ですよね」

「そんなにご心配でしたら、王都の検問所で聞いてみましょう。きっと、昨日や一昨日にたまたま晴れて、民衆は大喜びですなどと言ってくるに違いありません」


 ずっと良い天気が続いていますなどと言われでもしたら、ミーリにとってはたまったものではない。

 リバーサイド王国で大きな功績を成すというのは、彼女の命運がかかっているのだ。

 しかし……。


「最近は、なぜかずっと晴れが続いていましてね。生まれて以来初めてですよ。こんなにも清々しい陽気の中、検問所で働けるのは」


 警備兵がニコやかな表情で御者に教えた。

 想定外の返答を受けた御者は、ミーリに対してとても気まずくなった。

 だが、ミーリはホッとした表情を浮かべている。


「心配には及びません。警備兵も『なぜかずっと晴れ』と言っていたでしょう? つまり、結局のところあなたの言っていたように奇跡的に良い天気が続いているだけなのですわ」

「な……なるほど」

「しばらくこの国で待ちましょう。元々は雨しか降らないような国らしいですから、いずれ空模様も怪しくなってくるはずです」

「承知しました」

「さあ、そうと決まったら観光ですわぁ! さっそくこの国の農園へ連れて行ってください。泥まみれの湖ではなくなってるかもしれませんが、ろくに野菜も育たないような湿った土を見れることでしょう」


 ミーリ達は近くにある農園へと向かう。

 そこでミーリ達が目にしたものは予想とは全く違った。

 立派な野菜が畑にまんべんなく育っていたのだ。

ここまで読んでくださりありがとうございます。

今作品のタイトルを大幅に変更しました。

新タイトル『追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜』


引き続き当作品をよろしくお願いいたします。


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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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