【フォルスト視点3】フォルストは覚悟を決める
「な!? やはり一緒に入浴するつもりなのか!?」
「へ? そうですけれど」
なんの躊躇もせずにフラフレはワンピースをめくり、顔のほうから脱衣してしまった。
フラフレの水色の下着があらわになってしまい、私はすぐに目線を逸らす。
「フラフレよ! 羞恥心というものはないのか!?」
「もちろんありますよ?」
そう言いながら、ついに下着まで着脱する音が聞こえてきた。
これはさすがにマズい。
フラフレは可愛いし一瞬見てしまった身体もスラリとしていて大人びている。
「早く行きましょうよ」
「なぜだ? 裸を見られて恥ずかしいとかそういう気持ちにはならぬのか?」
「イヤらしく触られたりしたら恥ずかしいというより気持ち悪いとか思ったりするかもしれませんね……」
「当たり前だ」
「でも、見られても別になんとも……。服だって防寒で着るものなのでしょう?」
「そういうことか……」
ようやくフラフレの考えが理解できた。
彼女の知能は本当に生まれたての小さな子供のような無邪気で良い意味で無知。
だから裸であってもなんの抵抗もないのだろう。
それならば一緒に風呂に入ろうと誘う理由も納得ができた。
「フラフレよ、ひとつ覚えておきたまえ」
「なんですか?」
「アクア相手ならまだ構わない。だが、男には決して裸はおろか、下着も見せぬように! 世の中とはそういうものなのだよ」
「……そういうものなのですね、わかりました。でも今日は目的もあるのでフォルスト陛下はつき合ってくださいね」
「わかっとらんではないか……」
これ以上言ってもダメかもしれない。
要は私が不用意にフラフレの裸を見ないようにして、なおかつ触れないように気をつければ良いのだ。
「少し待たれよ」
私は大急ぎで大きなタオルを二枚、施設から持ってきた。
王族貸切の日は店員も休暇のため、セルフサービスとなっている。
持ってきたタオルを一枚、目を瞑りながらフラフレに渡した。
「せめて、タオルで隠すのだ」
「はい、こうですか?」
「ぶふぅっ……違う!!」
フラフレはこういうところは本当にポンコツ級にド天然だ。
あろうことか、顔を中心にタオルをあてるだけ。
大きいタオルのため、お腹辺りまではかろうじて隠れているが下が丸見え状態だった。
「まったく……、こうするのだ……!」
私は自らの身体でタオルを巻き教えた。
フラフレは、『なるほど~』と感心しながら不器用なりにもなんとかタオルを使いこなす。
続けて私も服を脱ぎタオルを一応巻いておく。
特に羞恥心というものはないが、フラフレに容易に見せないほうが良い。
(まぁ、ここの浴槽は広いし密着さえ避ければなんとかなるであろう……)
浴場へ向かうと、さっそくフラフレは慣れた手つきで身体全体を洗い始める。
私もフラフレとはかなり離れた場所で汚れを落とした。
頭を洗っている最中、目を瞑っていてなにも見えないときのことだった。
「フォルスト陛下?」
「ぎゃ!」
「あらいっこしませんか?」
「なに?」
フラフレよ、なにもわかっていないではないか!