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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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【フォルスト視点2】フォルストはフラフレに誘惑される

 

「アクアに確認しておいたのですが、今日は王族の貸切の日だそうです。だから、アクアにお願いして今日だけは他の王族さんはこの時間は控えてほしいってお願いしてもらいました」

「そんなことまでしていたのか?」

「はい。今日は私の望みを叶えてくれるのでしょう?」

「まぁ、筋は通っているが……」


 貸切にしてまで温浴施設を利用したかったのか。

 まぁ無理もないか。


 アクアからの情報によれば、王宮のお風呂ではフラフレの行動が三歳くらいの子供を相手にするよりも大変だと言っていた。

 おそらく、フラフレは温浴施設でも王宮のときと同様に派手にはしゃぎたいのだろう。

 だが、それは私がいなくても良い気がするが……。


「はいはい、フォルスト陛下ー。早くお風呂入りましょう!」

「あぁ……。私もか」

「当たり前ですよ! さ、こっちです」


 ん?

 おかしいぞ。

 フラフレはなんの悪気もなさそうな態度で女風呂のほうへと私を誘導しているではないか。


「ちょっと待て!」

「なにか?」

「まさか、女風呂に連れて行こうとしているのか!?」

「え? だって今日は貸切ですし」

「待て待て待て待てっ!!」


 混浴か!?

 しかもフラフレはなんの恥じらいもなしに連れていこうとしている。

 いやいや、フラフレはそんなガードの緩い子ではないはずだ。


 私はもしかして、誘惑されているのだろうか……。

 だが、こんな流れで彼女を傷つけたくはない。

 気持ちは嬉しいし、気になっている子にこんな頼みをされれば普通ならば喜んで行くだろう。


「フラフレよ……。自分のことはもっと大事にしたほうが良いと思う……」

「はい? もちろん大事にしていますよ。フォルスト陛下たちのおかげで十分に休養も取れていますし、毎日楽しいです。そのお礼ですよ」

「いやいや、そういうお礼は好ましくないと思う!!」


 身体で恩返しなどとんでもない。

 確かにフラフレはこの国に来た当初は痩せこけていたものの、しっかりと食事も摂り徐々に本来の身体つきに戻りつつあるように見える。


 彼女の身体はとても魅力的だし可愛い。

 だが、だからこそこんな形で恩返しや誘惑はしないでほしいのだ!


「え……? フォルスト陛下は私の企みを知っちゃったのです……?」

「むろんだ、あまり良き行動とは思えぬがな」

「そうですか……。でも、せっかくどんな望みでもって言ってくれたので……良いかなって思っちゃったんです」


 フラフレが私に好意を持っていて、しかも身体まで求めているほど重症だとは予想外だった。

 どんな望みも可能な限り叶えると言ってしまった手前、フラフレの欲望を叶えるべきなのか、それともしっかりと断ったほうが良いのか戸惑う。

 私が悩んだ結果はこうだ。


「フラフレよ……、そなたの望みはできる限り叶えたいと思っている。ただし、フラフレに今後後悔がありそうなことまでを叶えたいとは思っていないよ」

「え? 私の望みって後悔しちゃうものなのですか?」

「そう思う。こんな場所で一時の過ちを犯し、そのうえ、万一にでも子供ができてしまったら……」

「はい? フォルスト陛下はなにを言っているのですか?」

「む?」


 フラフレがとても不思議そうな表情をしながら私をじっと見てきた。


「多分ですけれど、私の企みをフォルスト陛下は勘違いしていますよ……?」

「そうなのか……? すまぬ。勘違いのせいでとんでもないことを言ってしまって」

「だから安心して来てください」


 フラフレの笑顔に私は負けた。

 そうだ、彼女が性欲で変なことをするような子ではないはずだ。

 私はなにを疑ってしまったのだろう。

 情けない……。

 きっと、女風呂のほうでなにかやましいこと以外でフラフレなりになにかしたいことがあるに違いない。


「わかった。着いていこう」

「良かったー。あ、ところで……」

「なにか?」


「どうやったら子供ってできるのですか?」

「……私は知らぬ……」


 このとき、私はフラフレに嘘をついてしまったのだ。

 こういうことはアクアに任せることにしよう。

 同時にフラフレの身の回りの世話係を任せているアクアには、休養をしっかりと与えたほうが良いと身をもって思ったのだった。

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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