【フォルスト視点1】フォルストはフラフレに振り回される
ここからしばらく、フォルスト国王視点でお話が続きます。
フラフレがなにを考えながら話しているか想像しながら読んでいただけたら幸いです。
ハーベスト王国で野菜を仕入れた帰り道の王宮野外の荒野とも言えるような場所で、フラフレが倒れている姿を見かけた。
あのときは私の身体が勝手に動き、気がついたら馬車に乗せて誘拐のようなことをしてしまった。
フラフレとは初めて出会ったはずだが、どこかそうでもないような違和感もある。
だが、未だにその謎はわからぬままだ。
不思議な気持ちと、私の直感で彼女は絶対に助けなければならないと思ったため、馬車の中では簡易的に医師の処方を任せた。
数日でようやく王都に帰ってからも、王宮直属医師による本格的な治療がはじまった。
もう助からないと思っていたが、彼女は奇跡的に目覚めたのだ。
それからというもの、フラフレはまるで生まれてから間もない赤ん坊のように、無邪気で明るく振る舞っていた。
年齢のわりに知識の面ではいかがなものかと思うところもあるが、それがまた魅力的だと思ってしまった。
そして彼女が聖女だということも理解した。
あのとき助けるべきだという直感は的中した。
もちろん無理に力を強要するつもりはない。
あくまで彼女の力であって、しかもこの国の人間ではない。
だが、フラフレは自ら進んで力を使ってくれたようで国を助けてくれたのだ。
フラフレには驚かされてばかりだが、昨日、フラフレに望みを叶えたいと言ったらとんでもないことを言い出したのだ。
『フォルスト陛下が私に一日つき合ってもらうとかが良いですっ!』
はっきり言って、私の望みを聞いてくれたのではないかというくらい嬉しかった。
だが、本当にこれで良いのだろうか。
フラフレの望みが、私が一日相手をするだけで叶ってしまうような安いものではないはず。
今日、私はフラフレと共に行動し、彼女がほしいものややりたいことを全て叶えてあげようと思う。
「待たせたな」
「いーえ、今日は元気に出発しましょうね!」
「う……うむ」
フラフレの無邪気な笑顔がたまらなく可愛い。
今まで私に近寄ってきて婚約目的だった者達は皆、なにかしら野望や名誉、そのような欲が顔に出ているほど飢えている感じだった。
他にも理由はあるが、もちろん断っていたし、今後結婚をすることはないだろうと思っていた。
だが、フラフレは全く違う。
欲望はあるにはあるが、彼女の場合は私に対してではなく自らの趣味に全開と言った感じである。
普通、農園で遊びたいなどと国王に対してお願いするだろうか?
金貨を渡してもほとんど喜んでくれないし、むしろ返品される始末だ。
一体、フラフレはなにを考えているのだろうか。
今日はそれを知れる良いきっかけかもしれない。
フラフレに言われたとおり馬車に乗る。
「どこへ行きたいのだ?」
「へへー、秘密です。着いてからのお楽しみですからね」
「あぁ、承知した」
もしかしたら、フラフレは私のことを口説こうとしているのだろうか。
いや、もしもそうだとすれば、最初の望みで真っ先に結婚を申し込んでくるはずだ。
いやいや、フラフレは良い意味で規格外な考えを持っている子だ。
本当になにを考えているのかさっぱりわからない。
考えれば考えるほど、フラフレの魅力に引き込まれているようだった。
「はい、着きましたー」
「ここか?」
「はい!」
到着したところは、まさかの温浴施設だった。





