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31話 フラフレは呼び出された

『どうか、リバーサイド王国と太陽が仲良くなってくれますように……』


 朝の日課は欠かさない。

 地下牢にいたときと違うのは、聖なる力が発動された感覚がほとんどないことだ。

 なんとなく力だけそれなりに抜けている感覚はあるが、目眩や吐き気がない。

 少し前までは苦しいけれど体調不良になってしまうことで、『今日も聖なる力を発動できた』と思っていた。

 思えばリバーサイド王国へ来たばかりの最初の発動では、やや目眩が起きていたような気がする。


 リバーサイド王国での待遇が良すぎて私はどんどん元気になっている感覚がある。

 だが、それに比例するかのように聖なる力が消えているような……。

 そもそも、聖なる力ってなんなのか私は知らないで生きてきた。


「フラフレ様。今日はあまり良い顔をされていませんね……」


 アクアは、私が外に向かって祈った少しあとに入室してくる。

 まるで私がこれをやっていることを知っているんじゃないかと思ってしまう。

 だが、そうだとすれば聞いてくるはずだから、きっと偶然なのだろう。


「うーん……。実は目標があるんだけれど、なかなか上手くいかないなぁって」

「目標ですか?」


 アクアやフォルスト陛下のことは信頼できるし、大好きだ。

 私が実は聖女だと言っても強引に力を強要してきたりしようとはしてこないとは思う。

 だが、せっかくだから、ちゃんと聖女らしく結果を出してからビックリさせたい。

 だから、今はまだ黙っておく。


「うん。フォルスト陛下やアクアをビックリさせたいんだぁ」

「ふふ……。それなら毎日ビックリさせられていますよ」

「そういうことではないんだけれどね……」

「そうは言いますけれど、本当に驚かされていますよ。昨日なんて、フラフレ様が農園で遊ばれたあと、今までで最速で作物が実ったのですから」

「へ?」


 土に関してはずいぶんと元気になったと思う。

 だが、野菜がそれほど早く成長するとは想定外だった。

 リバーサイド王国に来てからは、よくわからないようなことがたくさん起こっている。


「普段は早朝、フラフレ様が農園で遊ばれる前に野菜を収穫するのが日課でした。しかし、昨日は日が暮れる前に収穫できたのですよ」

「そんなに早く実ったんだ……どうしてだろうね」

「そうそう、野菜の収穫に関してですが、今日はどろんこ遊びをされたのちに入浴していただいてから、陛下が対談を望まれています」

「対談? いつもと違ってずいぶんとかしこまっているような気もするけれど」

「はい。今回は玉座の間で直々に話をするとのことです」

「ぎょくざのま?」


 ハーベスト王国にもあったのだろうか。

 初めて聞く単語だから、私はアクアに聞き返してしまった。


「リバーサイド王国の玉座の間は、主に他国の王や使いの者を迎え入れ、その場で取引や外交を果たす場所として使われています」

「んがぁ?」


 アクアの説明がむずかしすぎてよくわからなかった。

 すぐにアクアは私にもわかるように簡単に説明してくれた。


「国として大事なことがあったときに、国王陛下が使う部屋と言えばわかりますか?」

「なんとなく……。でも、私がそんなに大事な場所へ行っちゃって良いの?」

「陛下のご要望ですから」


 玉座の間という場所で、私は一体なにを言われるのだろうか。


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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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