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24話【リバーサイド王国サイド】 再びアクアとフォルストの会議(前編)

 フラフレが金貨を受け取った日の夜、フォルストとアクアはミーティングをする。


「フラフレ殿のことで聞きたいことがある」

「奇遇ですね。私も陛下にフラフレ様の件で確認したいことがあります」


 テーブルにはフラフレが作った野菜の一部と飲み物が置かれている。


「一日を通して、フラフレ殿は自ら聖女だと名乗るような場面はあったか?」

「いえ、全くありませんでした。時折祈るような仕草は見受けられましたが、小声で聞き取れませんでしたね」

「ふむ。……今日も雨は降らなかった。彼女の力のおかげだとしか思えんのだがな」


 フォルストはテーブルの上に置かれた緑色の野菜を手に取り、アクアに見せる。


「フラフレから買い取った野菜を一つ口にしてみた。信じられないほど甘味があり、どこか優しい味がしたのだ。アクアも食べてみてくれ」

「良いのですか?」

「元々あの金貨も国の金ではなく、私のポケットマネーから払ったものだ。そうでもしなければこのあと安易に民たちに野菜を配ることもできないからな」

「では……、遠慮なく」


 アクアは野菜をちぎり、それを口の中に入れる。

 すると、アクアは笑みを浮かべながら一口、もう一口と夢中になって食べだした。


「こんなにも甘くて味わいのある野菜は食べたことがありません!」

「だろう? 晴れ間が見えてきたとはいえ、土は泥の状態なのに……だ。しかも本来なら育つのに数週間はかかる野菜を一日で育ててしまった。普通では考えられない」

「やはり、フラフレ様の何らかの力が加わり実ったと考えるべきですね」

「あぁ。驚くべき点はそれだけではない。食べてみて気がついたことはないか?」


 アクアは野菜を全て食べ終えた。

 アクア自身の身体を確認したが、これと言ってなにか変わったようなことはない。


「信じられないほど美味しかったですが……?」

「身体に変化はないか?」


 再びアクアは身体を確認したり動かしたりしてみる。

 すると、一つだけ気がついたことがあったのだ。


「言われてみれば……。何となくですが、疲れが癒されているような?」

「やはりそうか。私だけではなかったということだな」

「どういうことです?」

「断定はできないが、フラフレ殿が作った野菜には疲労回復の効果がある。もしくは何らかの聖なる加護を加えてくれたのか……」


 もしもそうだとしたら、ハーベスト王国でフラフレは重宝され、一人で王都の外に出てしまうようなことだってなかったはずだ。

 一つの可能性を除いては。

 だからこそ、今回のフォルストは自信なさげにそう呟いた。

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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