23話 フラフレは金貨を飾ってみた
「本日より、ここはフラフレ様の専用個室となります。装飾、飾りつけ、レイアウト変更などご自由に使っていただいて構いません。他、なにかご要望があれば何なりとお申しつけください」
「そんなことまで自由にして良いの!?」
「もちろんです。フラフレ様はすでに国としても大事なお方なのですから」
「じゃあ、せっかくだから飾りつけだけしてみようかなぁ」
「はい、装飾に必要なものがあれば何なりとお申しつけください」
「大丈夫。さっきもらったから~」
「と、言いますと……って! ちょ!? フラフレ様!?」
私は先ほどフォルスト陛下からいただいた金貨五枚を、テーブルの上に三枚、枕の両サイドに一枚ずつ飾ってみた。
「ふふふふふふふふふ~♪」
「はぁ……。金貨はそういう使い方では……」
「綺麗だなぁ」
「まぁ気に入っていらっしゃるようですし、良いでしょう。幸い、ここなら盗まれる心配はありませんからね」
この綺麗なキラキラの使い方もわからない。
これからここで生活させていただくにしても、ある程度の常識を覚えたい。
そう思ってさっそくアクアにお願いをしてみる。
「さっそくなんだけれど、お願いしても良いかなぁ?」
「もちろんです」
「読み書きができるようになりたいから、本を読んでみたくて」
「承知しました。すでにフラフレ様は王宮の内部にある施設は自由に利用できます。書庫という本が保管されているところへご案内いたしましょう。ただし、書庫からの持ち出し禁止のため、書庫内で読んでいただきますが」
「わかった。ありがとう」
「ところで、フラフレ様は文字が読めないのですよね?」
「う……うん」
「そんなに恥じなくとも。リバーサイド王国では教育まで手が回っていませんから、貴族王族界以外では文字の読み書きができる者は稀ですよ」
「ハーベスト王国もそうだったのかなぁ……」
「あの国に関しては……、存じませんね。しかしリバーサイド王国はできることなら民衆にも、貴族と同様に教育がおこなえる環境にしたいというのが陛下の望みです。ところで読み書きですが、もしよろしければ私がお教えすることも可能ですが」
「良いの!?」
「はい。私はフラフレ様の専属メイドなので、可能な限りお力になるのが仕事です。まぁ、仕事じゃなくてもフラフレ様にでしたら是非お教えしたく思いますね」
「じゃあ、よろしくお願いします!」
「今日は作業が残っていますので、明日からということでよろしいですか?」
「うん! ありがとう!」
覚えるのは大変だろうけれど、私も読み書きができるようになるかもしれない。
ワクワクが止まらず、私はまたしてもベッドの上でごろんごろん寝返りをしながらはしゃいでしまった。
♢
早朝、いつもの聖なる力の発動もどきの祈りを済ませる。
朝食をいただいてから農園で野菜の葉っぱや芯を植えて育つように祈る。
さて、やることを満喫したことだし、いよいよ文字の読み書きをアクアから教えてもらう予定だ。
入浴してどろんこを落としてから自室へ戻ったのだが――。
「フラフレ殿よ、私が文字を教えることになった」
「ほへぇぇぇえええ!? フォルスト陛下がですかー!?」
大変なことになった。
フォルスト陛下ともあろうお方が私のために時間を作ってくださるのは嬉しい。
ただ、こんなに緊張した状態で覚えられるだろうか。あまりにも恐れ多い……。
ところで、どうしてアクアじゃなくてフォルスト陛下に代わったのだろう。
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