21話 フラフレは金貨を見て興奮する
「本題に入ろうか。中には金貨が五十枚入っている。これでフラフレ殿が作った野菜を買い取らせてほしいのだ」
フォルスト陛下は中身を取り出し金貨を見せてくれた。
平らなピカピカは手のひらサイズで、稲穂を咥えた鳥の絵が彫刻されている。
その美しさについ見惚れてしまった。
「綺麗な石ですね~。同じようなものがいっぱいですし、一枚だけいただきます」
「記念品ではないわっ! ……まさか、金貨の価値をわかっていないのか? 金貨が五十枚あれば、庶民が一般的な生活をしていたら概ね四年生活できる額だ」
そう言われても、実感が湧かない。
そもそも、あの野菜に何年も生活できてしまうほどの価値はあるのだろうか。
ピカピカしてて綺麗だし、飾っておきたいとは思うけれど。
「フラフレ殿よ。キミは王宮の裏庭にある状態の悪い農園にて、非常に見事な野菜を育ててくれた。それもたったの一日で……。この功績はとんでもないことなのだよ」
「うーん、あまり実感は湧かないですね。毎日生き抜くため……こほん、毎日趣味で野菜を育てていましたから、ずっと農園で野菜を育てられたら最高なんですけれど」
「本当か!? むしろ、交渉したいのはその件だ。フラフレ殿が農作業を望まれるのならばずっと王宮にいてくれると助かる。それくらいにキミの成果は凄まじい!」
思いも寄らない提案をされて、私の目はさぞギラギラ輝いたことだろう。
つい、フォルスト陛下の顔の近くまで近づいて再度確認を取る。
「毎日野菜を育てられる上に、王宮にいても良いのですか!?」
「無論だ。フラフレ殿の功績を考えれば、むしろこちらから頼もうとしていた」
「つまり……、しばらくは土と遊んでいられるのですね……。ううぅっ!」
嬉しさのあまり、うっすらと涙を浮かべてしまった。
「フラフレ殿は本当に不思議な子だな。ところで金貨は受け取ってくれるかい?」
「あぁ……野菜を買い取ると仰いましたね」
「うむ。もちろん全て大事に使わせてもらう。主に民間人へ配給する予定だ」
「どういうことですか?」
「実はな──」
フォルスト陛下が、詳しく話してくれた。
リバーサイド王国はずっと雨が降り続けていたため作物がかなり育ちづらく、主にハーベスト王国から高額で食べ物を仕入れていたこと。
それでも満足のいく食材は確保できず、私が作った野菜はとても貴重だという。
「そうだったのですね……」
「今までは恥を忍んで国の宝を金の代わりに支払って野菜を仕入れていた。だが私はハーベスト王国との不当な交易は続けたくない。フラフレ殿、キミから野菜を買い取りたいのだ」
「はい!? なぜそこまで!?」
「それだけフラフレ殿の作った野菜には価値がある。実は少しだけ見させてもらったのだが、野菜の色、見た目、ハリ等どれを取っても素晴らしかった」
私は足りない頭で頑張って考えてみた。
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