20話 フラフレはおいしいものをもぐもぐ食べている
私は畑で土を満喫した翌日、またまた美味しい食事をご馳走になっている。
しかも、今日はフォルスト陛下と一緒なのだ。
大事な話があるそうで、わざわざ私に合わせて時間を作ってくださったそうだ。
「フラフレ殿はいつも美味しそうに食べるよな」
「はひ? ほりゃーおいひいへふはら」
「……ひとまず飲み込んでから喋りたまえ」
「ふみまへん!」
「謝罪も飲み込んでからな」
私は口の中に詰め込んだ美味しいお肉を惜しみながら飲み込んだ。
もっと味わいたかったのに、もったいない……。
「食べながら喋ってしまい申し訳ありません」
「いや、悪いタイミングで私が話しかけたのがいけなかった。互いに気をつけよう」
「お気遣いありがとうございます」
早くフォルスト陛下とお話をしたいため、私は大急ぎで美味しいものたちを口の中へ詰め込んでいった。
「……そんなに急いで食べずとも良いのだが……」
「へ、へも……」
あ、無意識でまた口の中に食べ物が入っている状態で返事をしてしまった。
私はモグモグしながら、何度もペコペコと謝罪をする。
「フラフレ殿よ、食べながら謝るのは感心しないな。急ぐ必要はないのだ。ゆっくり味わって食べ、食事が終わってから本題に入ろう」
「は……、はい。食事の礼儀もろくに知らなくて申し訳ありません」
「気にせずとも良い。こういう場で食べることなど経験がなかったのだろう?」
「教えてくださったので、今後から口の中に食べ物を入れた状態では喋らないように気をつけたいと思います」
「うむ。フラフレ殿は素直なのだな」
フォルスト陛下が微笑みながら、ゆっくりと飲み物に口をつける。
その容姿でその笑顔は反則だって。
私は逃げるようにすぐに顔を下げ、食事に集中した。
朝からお肉をたくさん食べて、美味しい野菜サラダとスープも、紅茶というとても良い香りの飲み物もいただき、お腹がぽんぽんになった。
「ごちそうさまでした」
「フラフレ殿は本当に美味しそうに食べるのだな。見る者の笑顔を誘う」
「だって、こんなに美味しいご馳走ですから。生きていて幸せって思えますもの」
「ならば良かった。幸せと思うことができれば回復も早いだろう。顔色はずいぶんと良くなったように見えるが、体調はどうなのだ?」
「フォルスト陛下たちのおかげでかなり元気になりました。ありがとうございます」
「体力が回復できるまではゆっくりしていくと良い。……ところで一つ、フラフレ殿に交渉したいことがある」
「え?」
フォルスト陛下は言いながら、小さな革袋を取り出した。
中身はわからないが、大きさのわりにずっしりしている。
なにが入っているのだろうか。
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