17話 フラフレは張り切っている
ベチャ。
土が想定していたよりもべちょべちょだ。
畑に来てさっそく身体中がどろんこまみれになってしまった。
「はぁ……。フラフレ様はなんとも大胆な……」
「土がすごく湿っていて水分が多すぎるようだね」
「ずっと雨でしたから」
「雲には悪いけれど少しだけどいてもらって、太陽が顔を出してくれれば土も元気になりそうなんだよなぁ」
もう一度、ダメ元で祈りを捧げてみる。
慣れ親しんだ土の上での祈りはやりやすい感じがする。
「ふぅ……ふぅ、あれ? おかしいな……」
急に体力がごっそりと奪われていくような感覚があった。
土の上にゴロンと横になって身体を休める。
ふと空を見上げると、今にも雨が降りそうだった雲がゆっくりと避けていく。
まるで、リバーサイド王国の王宮を中心として避けてくれるかのように。
もう少し眺めていると、今度は私の身体にあたたかい光が差す。
太陽の光だ。
「うーん、気持ち良い」
「……太陽が姿を現すなんて、一体いつぶりでしょう」
ずっと地下牢生活だったから、太陽の光を浴びること自体が久しぶりだ。
とても心地良くあたたかく、生命力を分けてもらった気分だ。
ついさっきまで体力切れだったのも嘘だったかのように、元気が出てきた!
「さぁて、天気も良くなってきたし……。育てるぞぉぉぉ!!」
「で……ですからフラフレ様。葉っぱを植えても……」
「良いから良いからー、これで今まで生き抜いていたん……こほん、芽生えなくても土の栄養源にはなるから」
「まぁ……、お好きなようにお楽しみください」
アクアは手をおでこにあてながら、あちゃーという様子で見ている。
私は気にせず、もらってきた野菜の葉っぱや、料理で余った芯や皮、さらに貴重な種もほんの少しだけ、広い畑の隅から隅まで満遍なく埋めた。
『どうか、この農園に美味しくて栄養のある野菜が育ちますように』
野菜を植えたあとは、いつもやっていたように土にお礼をしながら応援する。
顔を地面にあてているから顔中がどろんこまみれだ。
だが、この土の匂いがたまらなく良い!
これこそが私の生きがいだと心の底から思う。
ふとアクアを見ると、口を大きく開きながら完全に呆れているようだった。
「……お、お楽しみいただけましたか?」
「うんっ! とっても良い土と出逢えたよ。本当にありがとう!」
「良かったですね。戻ったらお風呂に入っていただき着替えましょう」
アクアはフッと軽い笑みを見せてくれた。
私自身は土が顔にくっついていても別に構わない。
だが、さすがに王宮内でどろんこまみれは申し訳ないと思う。
アクアの言うとおりに、王宮内へ戻った私は真っ先に大浴場へ行った。
気持ち良すぎて天国だった。
窓越しから外を見ると、すっかり太陽に照らされて良い天気になっている。
私の聖なる力は不要かもしれない。
けれど今までの日課だったし、これからも毎朝祈ることにしよう。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
下の方に☆☆☆☆☆の評価マークがありますので、「フラフレちゃんの泥まみれ可愛い」などと思ってくれたら、ポチッと押してくださると作者は喜びます。
ぜひよろしくお願いいたします。





