16話 フラフレは外の景色を見てから祈ってみた
「起きてくださいフラフレ様!」
「……ふぴゃぁ?」
地下牢の中がフカフカ~。
可愛い女の子の声も聞こえてきたぁ~。
「夢の世界を満喫のところ申し訳ありませんが、……至急起きてくださいーー!!」
「むはっ!」
大きな声を耳元で聞き、さすがに目が覚めた。
ビックリした……。
「無理に起こしてしまい申し訳ありません。大至急外を見ていただきたいのです!」
よだれまみれの口周りを腕で拭きながら、窓に目線を向けた。
「んー? ……あ! 雨が止んでいるね」
「リバーサイド王国で雨が止むのは珍しいのですよ! きっと、フラフレ様の農業をやりたいという願いが通じたのでしょう」
ベッドから降りて、窓側から外を眺めてみる。
雨は止んでいるが、太陽は姿を現していない。
(本当に聖なる力がなくなっちゃったんだなぁ……)
ちょっと残念ではあるが、聖なる力が戻るようにこれからは毎朝祈ろう。
今はアクアが側にいるものの、この祈りは寝起きですぐにやっていたこと。
もう効果などないだろうけれど、気にせずに始める。
『どうか、リバーサイド王国と太陽が仲良くなってくれますように……』
「おぉ……、フラフレ様も祈りを捧げるのですね」
「も? この行為を知っているの?」
「はい。陛下がよくやっていますよ」
「フォルスト陛下が!?」
「陛下曰く、昔の恩人がやっていたそうです。その人を忘れないように、フラフレ様と同じことをしていますよ。効果は見込めなくても、続けていたらひょっとして国が良くなるのではないかという願いもあるそうです」
フォルスト陛下にも私と同じように恩人がいることを知って、親近感が湧いた。
だが私の恩人は、もうずっと前から生きているのかわからないままだ。
せっかく外の世界に出られたのだから、いずれ会えたら嬉しい。
「ところで、私が着ていたボロの服はある? 土と触れ合うから汚れちゃっても良い格好になりたいなって」
「フラフレ様が最初にここへ来たときの服は綺麗に洗いました。しかしところどころに穴が開いていたり、カビが取れなかったりです。もしよろしければ、ジャージ等もありますからそちらを着てみては?」
「ジャージ?」
「実物を見たほうが早いかもしれませんね。お持ちするので少々お待ちください」
また初めて聞くものだ。
せめて日常的に使いそうな言葉くらいは覚えておかなきゃいけないだろう。
本を買いたいから、仕事を探さなきゃ。
しばらく待っていると、アクアがジャージという服を手に持って戻ってきた。
「こちらがジャージです。運動をするときによく着用されます。また、リバーサイド王国では農業や建築など、主に身体を動かす仕事で愛用されていますよ」
「動きやすそう……。着ても良いの?」
「もちろんです」
私はジャージに着替え、予想以上の動きやすさに感動した。
汚れても良いことが大前提で作られているのを知ると、さらにウキウキしてくる。
これなら土の上にダイブだってできちゃう!
「早く畑に行きたい!」
「はいはい……、畑は逃げたりしませんから。まずは、動くためのエネルギーを補給しましょう。朝食の準備も整っています」
「ありがとう」
フォルスト陛下は忙しいようで、一緒に食べることはできなかった。
朝食を少し急ぎ気味で食べ、すぐに念願の畑へと向かう。
「うわぁぁぁぁあああああ! 広いーーーー!」
今まで地下牢で一緒にいた土とは比べものにならないほどの広大な畑。
私はアクアが止める間もなく、思いっきり土へ向かってダイブした。
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