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118話【Side】ジャルパルとバルメルの口論……そして

予約投稿忘れてしまい、更新止まっていました。申し訳ございません!

新作に合わせて更新再開しました。最後に新作の告知もあります。

 バルメルは自室に戻った。

 ミーリに嫌われたと確信し、深くため息をつく。


「随分と冴えない顔をしているな」

「兄上はすっきりとした表情を……また呼んだのですか!?」

「当然。地下牢で何日もの間、禁欲せざる日々を送る羽目になっていたのだからな」


 肌の露出が激しめの若い女性が、ジャルパルの部下の警備兵とともに、よそよそしく部屋から出ていく。


「他言は君だけでなく関係者全員が処刑となる。わかるな?」

「はい、口止め料は預かっておりますので……」

「うむ。また近々呼ぶとしよう。君は特に上手かったからな」


 深々と頭を下げたのち、扉が閉まる。


 バルメルはさらに深くため息をついた。

 今後の王族の運命のためとはいえ、ミーリに嫌われてしまっていることが苦痛であり、さらにジャルパルの身勝手さの挟み撃ち。

 さらにさらに今退室していった女性が完全に黙秘を貫くとも信用できない不安。

 バルメルのストレスは増える一方だった。


「兄上は性欲になると持ち前の慎重さが欠けるのでは?」

「そのための法外な金貨だ。彼女には大事な家族もいるし身体の不自由な両親をとても大事にしておる。逃げ場がない以上、喋ることはあるまい」


 ジャルパルの強迫っぷりには抜かりがなかった。

 全員が訳ありの女性たち。脱獄したことなどを喋れば、逃げ場のない処刑が待っている。

 なおかつジャルパルは特定の人間しか部屋に連れ込んでいない。

 そうジャルパルが説明したものの、はやりバルメルのストレスが緩和されることもなかった。


「この際目を瞑りましょう。ところで兄上が向かわせた連中はいつになったら戻ってくるのです!? ミーリをいい加減に地下牢から出さないと私の立場が……」

「まぁ待つのだ。予定では今日の夜に戻るはずだ。フラフレを連れてな。仮に任務に失敗したとしても今日戻るよう命じているから安心したまえ」


 しかし、ジャルパルが向かわせた組織部隊の半分は寝返ってリバーサイド王国で幸福な生活を。残りのメンバーは囚人として捕まっている。

 もちろんそのようなことを知る術はない。


「兄上の言うことを信じられなくなっています。ミーリを地下牢に入れておけば聖なる力が向上すると仰っていたでしょう? 全くその成果は見えず、むしろ本人は力が弱まったと主張しております」

「そんなはずはない。……まさか、食事などを与えぬようにという指示を無視したのか?」

「あたりまえです! 三日間そうしましたが、みるみるうちにやつれていく一方だと報告を受けましたから!」

「たかが三日で……」

「兄上の性欲を三日間我慢しろと言われたらどうされます!?」

「それとこれとは違う」


 言い争いがしばらく続いたが、バルメルが折れた。

 不穏な空気が漂うバルメルの部屋にて、バルメルは国務をこなしていく。


 あっという間に夜になり、そして夜も更けた……。


「帰ってこないではありませんか!!」

「まぁ……待て。なにしろ隣国とは言え何日もかかるような場所。多少の遅刻は仕方あるまい」


 しかし、朝になっても帰ってくることはなかった。


 ♢


「おはようございます兄上。今日も雨ですな」

「うむ」


 たっぷりの皮肉を込めた挨拶に、さすがのジャルパルも空返事しかできなかった。


「ミーリを地下牢から救出します」

「それはバルメルにとっても都合が悪い。止めておくのだ」

「しかし、状況を考えるに兄上の用意した者たちは向こうで捕まったあるいは事故で帰れなくなったと考えるのが当然です。ならばミーリに全てを賭けるしかありません」

「考えてもみたまえ。今の状況でバルメルの命令を聞くような娘だと思うか?」

「問題ないでしょう。私のことをなんだかんだ慕っているのですから」

「親バカめ」


 朝から口論が繰り広げられていく中、バルメルの部屋にドアがノックされる音が響く。

 ジャルパルはすかさず身を隠すために収納棚に隠れた。


「入りたまえ」

「失礼します。至急陛下にお伝えしたいことが……」


 入ってきたのは近衛兵副隊長。今では国の入出国に関して重要な客人が入ってきたときに、迅速にバルメルに伝える重要な役となっている。

 ジャルパルの手下がフラフレを連れてきたのかと思いながらも、そのことには触れず話を聞く。


「リバーサイド王国国王、フォルスト=リバーサイドと名乗る者、並びに側近アクアと名乗る二名、他彼らの護衛が入国を希望されております!」

「バカな……? いったいなんのためにわざわざ」

「本人確認後、直接王宮へお連れしますか?」


 しばし悩むバルメル。


「構わぬ、通せ。私とて向こうの国王には一度挨拶をしたかったのでな」

「ははっ。かしこまりました」


 聞き耳をたてていたジャルパルは嫌な予感しか浮かばず。

 だが、冷静に対処方法をしっかりと考えているのだった。


(フォルスト王がここへわざわざ来るということは、フラフレ奪還は失敗か。あの間抜けどもめ……。いや待てよ? フォルスト王が単独で? なんのために? あのお気楽な王のことだ。フラフレを同行させている可能性は高い。むしろ奪うには好都合ではないか。よし、あいつらを使うか……。今度は抜かりなく早急に作戦を練らねば。バルメルには黙っておくか)

2年ぶりくらいの新作になります。

こちらもフラフレのように、主人公は楽しく生きていくような物語になっていますので是非よろしくお願いいたします。


『ワガママな妹に婚約者を奪われましたが、やっぱり嫌だと返されました〜二度目の婚約は治癒魔法で人々から感謝され公爵令息様から甘々に溺愛されます〜』


リンクの貼り方がわからなく、作者ページから飛んでいただければ……。お手数おかけしてしまいますが何卒お願いいたします。


次回のどろんこ聖女は、2週間後くらいに更新します。

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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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