104話 フラフレはウェルマーとも仲良くなってみたい
頭の中がグルグル回ってきた。湯船でのぼせたのもある。
「ウェルマーさんって、ミーリのことは知っているの?」
「もちろん存じていますよ。ジャルパルが国王でなくなった瞬間に、弟のバルメルが国王に。そしてミーリ王女となったことも」
話し方からして、ウェルマーはミーリに対しても良い感情を持っていないような気がした。
私とミーリが友達になったことは今は伏せておこうかな。
叛逆の叛逆をされてせっかくのハーベスト王国の情報をもらえなくなっちゃったら困るし。
私もほんの少しだけ考えられるようになってきたかな。うんうん。頭の中がグルグル回りながらも、アクアの真似ができるように頑張ってみた。
しかしアクアが……。
「実は数日前までミーリさんはこちらに滞在していたのですよ。聖女様が、ミーリさんの心を改心させました。今後は立派な聖女として活躍するかと思いますよ」
「な……⁉︎ あのワガママで自分勝手で有名な元公爵令嬢を⁉︎」
ウェルマーが信じられないと言った表情をしながら驚いていた。
ミーリってハッキリとした物言いはしているけれど、自分勝手だとは思わなかったけれどなぁ……。
「さすが、聖女様です……。力だけでなく、人の心までも変えてしまうとは……」
「え、ええええっ? 私はただミーリと仲良くなっただけだよ」
「またまたご謙遜を……。それにしてもこれほどのお方をジャルパルは廃棄処分させるなんて……。なにからなにまでありえません」
話をおおごとにしないでほしい。
ミーリには自分の信念があって、それに対して本気だったからこそ一生懸命になっていただけだと思う。
私はただ、一緒にどろんこあそびができたら良いなぁと思って仲良くなっていっただけだ。
アクアが口を開いた。
「ところで、ウェルマーさんは、このあとどうするつもりですか? 叛逆ともなれば、もうハーベスト王国に戻るのは危険でしょう。ましてやジャルパルが脱獄しているのであればなおさら」
「可能ならば、このままリバーサイド王国で庶民として生活できたら嬉しいなと……。御者や従者共々、この国へ来てから太陽の恵みをとても気に入っていまして」
「なるほど……」
アクアが手を口元にあてて考えている素振りをした。
つられて私も一緒になって同じ動作をしてみる。
なにも考えられないけれど、なんとなく……だ。
考えられないなりに考えてみると、国とは全く関係のないことばかり思いついてしまった……。
ウェルマーとも友達になれないかなぁ。友達になれたらもっと楽しくなりそうなんだけどなぁ。
「こんな話をすぐに信用してもらうなんて無理だと思います。ですから、ひっそりと滞在させていただくだけでも構わないです。もちろんスパイだと思うでしょうから、私たちへの監視つきでも構いませんので」
「そういうことならば、一度この国の国王陛下と謁見してもらえますか? ウェルマーさん及び従者と御者全員で」
「はい?」
「ね、聖女様?」
「うん。それが良いと思う」
アクアの発言に同調するよう言われていたから、なにも考えずに話を合わせた。
ゆっくり考えてみると、フォルスト様と会ってもらうのはすごく良い判断だと思う。
フォルスト様は本当に勘が鋭いし、こういったときにものすごく信用できる。もしもウェルマーが危険人物だったらきっと警戒するに違いない。
孤児院にいたころから、ずっとそうだった。私が危険人物に近づきそうになると、すぐ止めてくれたのだ。
フォルスト様の勘って、いったいどうなっているのだろう……。
次回更新は2月23日(金)予定です。





