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【書籍化】追放聖女のどろんこ農園生活 〜いつのまにか隣国を救ってしまいました〜  作者: よどら文鳥


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101話 フラフレはジャルパルに対する愚痴を聞く

 なんとなくだが、彼女がそう言っていても私を捕まえようと企んでいるようには見えない。

 アクアも落ち着いているようだ。


「聖女様を誘拐ですか……。そこまでの事情をわざわざ伝えてくださるということは、よほどの自信があるのかもしくは……」


 少しの間沈黙が続いたが、彼女は覚悟を決めたかのように身体を覆っていたタオルをめくり、素っ裸の状態になる。

 アクアにも負けないくらいの放漫な凹凸と、ミーリと似ている赤い髪に釘付けになってしまう。


「信じてもらえないと思いますが、ジャルパルに対する叛逆です。このとおり武器も持っていませんよ。私と一緒に同行している御者も従者も全員!」

「はんぎゃく?」

「つまり、権力者に対して逆らって反くことです。ハーベスト王国の元国王に対して裏切るということですね」


 アクアがこっそりと教えてくれた。いつもありがとう。

 つまり、この人は味方ということだろう。

 ところで、なんでジャルパルが命じることができるのだろうか。

 たしかハーベスト王国に連れ帰ってもらって、地下牢に閉じ込めてもらったはずなんだけど……。


「あの、ちょっと良いですか?」


 アクアの後ろからひょっこりと会話に混ぜさせてもらった。


「ジャルパル元国王は釈放されたというわけですか?」

「いえ、違います。ジャルパルがこちらの国へ来る前、命令されていたのですよ。『もしも地下牢に入るようなことがあった場合、次の命令のために指定した日程の夜中に地下牢へ来るように』と」

「あなたは、いったいなにものなのですか?」

「名乗っていませんでしたね。ジャルパルが裏で支配する組織のひとり、ウェルマーと申します」


 ジャルパルがそんな組織まで作っていたなんて知らなかった。

 もしかして、私の金貨を奪おうとしていた連中もひょっとして……?

 ジャルパルは計画性が高いことで有名だったはず。

 ということは、ウェルマーだけでなく、他にも仲間がいるわけだろうし……。


「ジャルパルって、もう地下牢から出ちゃっている……とか?」

「それは間違いないかと」

「げ……」


 こればかりは緊張でいっぱいになってしまった。


「ひとまず、出てから続きを話しましょうか」

「そうですね」


 話が国がらみのことになるため、ひとまず浴場を出て休憩スペースへ移動することになってしまった。

 アクアごめん。私が変な質問をしてしまったから入浴時間が短くなっちゃったのだから。

 あとで無事に帰れたら、王宮のお風呂で温まろうね。


 ♢


 ウェルマーが詳しく話してくれた。

 しかし、徐々に話はエスカレートしていき、ウェルマーが怒り狂いながら文句ばかり言うようになっていく。


「――というわけで、あのエロ国王は地獄に落ちろって思っていますよ! 私も何度口説かれたことか……。いや、もちろんそこは丁重に断りましたけどね! それでも勝手におしりを触ってきたり胸を揉まれたり……、ほんっと散々でしたよ!」


 さらに、ジャルパルが管理しているという裏組織に関しても話してくれた。

 裏組織のメンバーに関しては、ウェルマーも詳しくは知らないらしい。

 メンバー内での団結や反乱を避けるために、最低限の繋がりしか教えてくれないのだそうだ。

 法外な高い金で雇われ、なにかあったときにジャルパルから呼び出しを受けてそれに従う組織。

 なお、私の金貨を奪おうとした三人組に関しても、ウェルマーとは面識はなかったがジャルパルの裏組織の人間で間違いないだろうと教えてくれた。


「おそらくですが、私以外にも事前に命じていたことでしょう。ほとんどがなにかしらのスペシャリストの集まりです。ゆえに脱獄させるよう命じてしまえば、容易に脱出もできるはずです」

「だから地下牢から出ているってことなんだね……」

「自由の身になってなにかしら企んでいます。そのことも耳に入れてもらいたいと思って、聖女様とお会いできるよう、数日前から潜入していました」


 数日前といえば、ミーリが帰った直後くらいのことかな。

 ということは、ミーリもウェルマーのことを知らないってこと?

 うーん、難しすぎてわからない。

本日(12/25)どろんこ聖女のコミカライズ版発売されましたー!!


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追放聖女のどろんこ農園生活 ~いつのまにか隣国を救ってしまいました~
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