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1-1 神宮寺マヤ颯爽登場

 高二の五月、場所は校庭。月曜の全校朝礼。

 全校生徒が整列する中、わたしは前後左右どこから数えても大体真ん中くらいに居る。


「……皆さんが静かになるまで二分かかりました」


 ため息。

 実際には呆れすぎてため息すら面倒なので、心の中でだけため息。

 このやり取り必要なのかと毎度のこと思う。騒がしい生徒に注意しないのは何か狙いがあるからとか前に聞いたことがある気がするけど、真面目に黙って待ってるこっちのことも考えて欲しいものだ。どうせ大した話ししないくせに。

 何ならこっちだって言ってやりたい。校長先生が話し終わるのに五分かかりましたって。まあ、言えるわけないんだけど。


 そんなどんよりした気持ちで校長の話を待っている(待ってはいない)と、何やらけたたましいエンジン音らしき音がどこからか響いてきた。

 どこかで工事が始まったか、さすがに工事は待てない校長が話し始めるが、エンジン音は段々と大きくなっていって、校長の話は耳まで届かない(もともと心には届かない)。

 いや、これはただ大きくなっているのではなく音が近づいてきているのだ。


 それに気づいた瞬間、ボゴォアッという大きな音を立て塀を破壊――突き破って大型トレーラーが校庭に侵入してきたではないか。

 いや、大型どころか超大型トレーラー。ホイールの直径だけで少なくとも私の身長くらいはあり、タイヤの幅は街で見かける乗用車の横幅並み。あまりにも馬鹿デカい! 青い車体に描かれた赤い炎がメラメラ燃えている。

 その超大型トレーラーは止まることなく猛進する。校長は朝礼台から慌てて逃げだした。そのトレーラーは朝礼台に向かって突進していたのだ。


 校長が降りて誰も居なくなった朝礼台を、超大型トレーラーはぺしゃんこに踏みつぶしてようやく停止した。唖然、呆然、騒然が入り乱れる中トレーラーの運転席側(こちら側)のドアが開き、人が一人降り立った。


 トレーラーとあまりにも不釣り合い。

 優雅だった。降り立ったのは女の子だった。うちの高校の制服を着ているが、わたしと同じ服を着ているはずなのにどうしてこんなにも華やかなのだろう。遠くからでもそれが分かった。そして長い金髪がとても美しかった。

 その女の子は、口元に手を添え高笑いした。


「オーッホッホッホッ! 時間の無駄でしてよ!」


 そして両手を腰に当て、高らかに言い放つ。


「こんな茶番に付き合っていられないわ! さあ、皆も教室に戻るのよ!」


 なんだなんだ、一体何なんだ。そんなこと言われて、ホントに教室に戻って大丈夫なのかよと思いながらわたしは立ち尽くした。


「なんなんだ君は!」


 逃げ出したはずの校長がとんぼ返りして声を荒らげる。すると彼女は。


「あなたに付き合っていると二分では済まないので。付き合っていられないと、最初に言ったわよね? ということで私自ら朝礼を終わらせるべく行動した次第よ!」


 な、なんて人だ。わたしにできないことをやってし――じゃなくて! わたしも似たようなこと思ってたけど、ここまでするか普通?


 結局こんな騒ぎでは朝礼は続けられるはずもなく、結局彼女の言う通り、わたし含めた全校生徒たちは自分たちの教室に帰ることとなった。


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