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初めての『はかいビーム』

「冒険楽しいね。エリオット」

「ああ、そうだな」


 リリアが笑っている。

 まだ村を出て道を歩いてるだけなのに。


 僕たちはナンシーさんを含めて3人で歩いている。

 ナンシーさんが先頭で、後ろを僕とリリアが横並びに歩いている。

 そう、大人のお姉さんのお尻が僕の前にある。僕は女性の胸以外も好きだ。


「ねぇエリオット。ナンシーさんのどこを見ているの?」

「え?……冒険者としての正しい歩き方を見て、勉強しているに決まってるだろう」

「ふーん、そうなんだ。てっきりお尻見ているのかと思っちゃった。エリオットは勉強熱心だね」

「当たり前さ」

「アタシ、この服歩きにくいー」


 リリアは『聖女の法衣』っていう白いローブを着ている。

 普段は動きやすい恰好をしていたからな。

 生地は軽そうだが、足首あたりまでの長いローブなので、リリアの健康的な足が見れない。残念だ。


「リリア様。慣れるまで我慢してください。その『聖女の法衣』があれば、あらゆるスキルを無効化し、あらゆる傷を癒せるのですよ」

「はーい。ちゃんと着てますー」

「ただし、スキルを使わない攻撃は防げないから気を付けてくださいね」

「はーい。ねぇ、エリオット。似合う?」

「何度目だよ。ああ、似合ってる。かわいいよ」

「ふふふっ。冒険って楽しいね!」


 リリアが笑っている。

 今日もいい日になりそうだ。



--------



 僕の村は道を少し歩くと森の中に入る。

 ここはたまに魔物が現れるので注意が必要だ。


「リリア。浮かれてないで、注意して歩けよ」

「わかってるよ。魔物が現れたらアタシの弓でやっつけるから大丈夫よ」


 ガサガサッ


「リリア様、何かが近くにいます」

「よーしっ。アタシに任せてー」

「リリア。後ろに隠れてろ」


 ガウゥゥゥッ


 大型の黒いオオカミみたいな魔物が右から飛び出してきた。四足歩行だから、頭の高さは腰くらいだが、立ち上がると2メートルになりそうだ。


「なっ、こんなところにオルトロス」


 驚いているナンシーさんへオオカミが飛び掛かる。


「ファイアランス」

 ボゥッザグッ


 ナンシーさんが火の槍をオオカミへ打ち出し、体を貫く。

 地面へ倒れて、そのまま燃えている。動く様子はない。


「なぜこのような場所にオルトロスが……」


 ナンシーさんが顎に手を当てて何かを考えている。

 オルトロスとやらは珍しい魔物のようだ。


「わー。ナンシーさんすごーい」


 ガサガサッ


 おや?


 ガウゥゥゥッ


 今度は左からオルトロスが現れた。

 ナンシーさんは素早く身構える。


 ガゥゥッ


 さらに、後ろからオルトロスが飛び出してきた。リリアへ飛び掛かろうとする。


 ガキッ


 僕はオルトロスのキバを剣で防ぐ。


「きゃあぁっ」


 が、飛びかかってきた勢いが強い。

 剣が弾かれる。

 オルトロスの大きく口を開け、僕の首を狙ってくる。


 ガブゥ


 なんとか、左腕で防ぐ。しかし、このままだと左腕がかみちぎられる。

 こんなんじゃ、リリアを守れない!


 スキル名を叫べば何かが起こるかもしれない。

 僕は右手をオルトロスへ向け。スキルを叫ぶ。


「はかいビーム」

 ギャリリリリリー


 僕の手から凄まじい音と、白い光が一直線に出て、オルトロスの腹に手の平の大きさの穴を空けた。


「よし!これならいける」


 僕はすぐさまリリアの元へ行こうと振り返る。

 しかし、体が動かない。


「あれ?動けない」


 ガゥガゥッ


 目の前に2匹もオルトロスが現れた。

 まだ動けない!


「ウィンドカッター」

 ヒュウッザクザクッ


 肉が引き裂かれる音が聞こえる。


「ふぅ。これで終わりのようね」


 目の前にいたオルトロスが切り裂かれてた。


「うわーん。怖かったー」

「大丈夫ですよ。リリア様。私がお守りいたします」

「ありがとう。ナンシーさん」


 どうやら、ナンシーさんが全部倒したようだ。

 ホッとしていたら、急に体が動くようになった。

 すぐさまリリアの元へ駆け寄る。


「リリア。大丈夫だったか?」

「うん。アタシは大丈夫。でもでも、エリオットの腕からすごい血が出てるよ!」

「大丈夫ならよかったよ。いってー」


 抱き寄せようとしたが、腕だけじゃなく足にも痛みがある。

 いつのまにか攻撃されていたようだ。

 でも、リリアが無事で良かった。


「アナタ、そのケガでよくヘラヘラした顔できるわね。じっとしてなさい。リリア様。この馬鹿に向かって『ヒール』と言ってください」

「え。はい。『ヒール』」


 僕のケガをしたところから緑色の光が出てきて、傷がふさがる。


「おー。すげー。痛くなくなってる」

「これが聖女のみが使える、癒しの魔法です」

「エリオット大丈夫?もう痛くない?」

「ああ。痛くなくなったよ。ありがとう。助かったよ」


 これが聖女のスキルか。すごいな。


「癒しの魔法とは言っても、死んだ者には効かないわ。せいぜい死なないようにすることね」

「へいへい。頑張りますよ」

「でも、まぁ、よくやったわ。オルトロスはとても強い魔物で、普通の人ならすぐに殺されてしまうわ。なにか魔法のようなことをしていたけど、何かしら?」

「僕にもわかりませんが、スキルが使えたんだと思います」

「そう。かなり強力なスキルのようね。少しは役に立ちそうじゃないの」


 褒められているのかわかりにくいが、まぁいい。

 美人だからな。


「でも、スキルを使った後に動けなくなったんです」

「あら、そうなの?強いのはいいけれど、連続では使えないようね。いつスキルを使うかしっかり考えなさいよ。どんな強力なスキルも使い方を間違えればあっさり負けるんだから」

「はい」


 ナンシーさんって結構面倒見がいい人なのか。

 心配してくれているようだ。

 少しは期待してくれてそうだから、その期待に応えようかな。美人さんだし。


 僕たちはオルトロスの死体を片づけてから移動を再開し、隣の村を目指した。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

本作は15話くらいで完結予定です。


本作について、下にある☆☆☆☆☆から、作品への応援お願いいたします。


また【― 感想を書く ―】へ正直な感想や「こうしてほしい」などのアドバイスをいただけると、とても励みになります。


ブックマークもいただけると本当にうれしいです。


よろしくお願いいたします。

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