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俺とソフィアは豪華な宿に到着した。
「ふぅ~。食べた食べた! もう食べられないよ」
「ふふふ。だいぶお腹が空いていたのね」
ソフィアは市場で買ってきた食材を棚にしまった。
数日分の食料と宿代は確保できた。
問題は、借金をどうするかだ。
「それなんだけどね。明日、剣術大会が開かれるのよ。出てみない? レイスならいい線行くと思う!」
「それってスキルありでいいの?」
「もちろん! ”金縛り”があれば優勝も狙えるでしょう? 優勝賞金は百万G。借金を返してもお釣りがくるわ」
「剣術大会か。いいね。出てみよう」
今日のゴブリンとの戦闘でレベルが上がった。
スキルの効果も上がっている。
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レベル:8
体力40
魔力40
スキル:金縛り
<半径五メートル以内の対象を三秒間金縛りにする。連続使用二回。クールタイム十秒>
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相手が一人ずつでいい剣術大会なら、たしかに活躍できるかもしれない。
やってみる価値はある。
◇ ◇ ◇
食事を済ませて部屋でくつろぐ。
夜も更けてきたので、俺は暖炉に火をくべた。
「……! レイス、ごめん。暖炉の火を消して?」
「え? どうして?」
「嫌いなのよ。火が」
言われた通りに火を消す。
今日は肌寒いし、暖炉の火があったほうが過ごしやすいんだけどなぁ。
「寒いなら、こっちで一緒に寝ましょう? 暖めてあげる」
「え? い、一緒に? いいよ、一人で寝るよ」
「ダ~メ。レイスは私の奴隷なのよ? 愛玩用として買ったんだから、お仕事して?」
ソフィアのベッドに引っ張り込まれる。
「ああ、やっぱり可愛いよ、レイス。私だけのレイス」
背中から抱きかかえられる。
女の子のいい匂いがする。
やわらかいものが沢山当たっている。
やばい。
立場を忘れて暴走してしまいそうだ……。
俺が欲望と葛藤していると、背中に硬いものが当たった。
「ああ、ごめんね。痛かった?」
「ペンダント?」
ソフィアの胸には大きめのペンダントがあった。
煤のようなものがついていて焼き焦げているようだ。
「……いつも肌身離さず持っているのよ。焼き焦げちゃってるけど」
「へぇ、見せてよ」
「ダメ。大切なものなの。レイスでも触っちゃダメ」
「ご、ごめん」
よほど大切なものなのだろう。
「ふふふ。謝らなくていいのよ。悪いと思っているなら、楽しませて?」
「は、はい……頑張ります……」
夜は更けていく。
俺は愛玩奴隷としての役目を果たし、眠りについた。
明日は剣術大会がある。
なんとか勝利して、自分の身の保証を得なければ。