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 「ソ、ソフィア!」


 倒れるソフィアを受け止める。

 

 なんで、どうして。

 あんなに戦うことを嫌がっていたのに。


 「う……レイス、無事なのね……よかった」


 「ソフィア、どうして俺なんかのために!」


 「い、言ったでしょう。もうなにも失いたくないって。弟を二度も失うなんて、絶対嫌だったから、だから、私、レイスの言った通りに戦いに来たの」


 なんてことだ。

 俺のせいで、ソフィアまで……。

 

 「レイスを守るために戦えて、よかった。どうか、生きて……」


 「ソフィア……」


 俺はソフィアをその場に寝かせ、バンに向きなおる。


 「もういいか? 待つのも飽きたぜ」


 「ほざけ。 俺のスキルが怖いから、自分のクールタイム中に離れていただけだろ」


 「その通り、お前のスキルのタネは明かされた。もう勝ち目はないぞ」


 「それはお前だって同じだろ。このクソ外道が!」


 ソフィアは「生きて」と言ってくれた。

 だけど、こいつだけは許せない。

 ソフィアとソフィアの弟を殺したこの男だけは。


◇ ◇ ◇


 「くらえぃ! ファイアーボール!」


 「ただの炎の弾だろ! なにがファイアーボールだ! かっこつけるな!」


 炎の弾を躱し、ふたたび走り始める。


 今度こそ、奴に近づいて金縛りをかけてやる!

 

 俺はあたりにある木材や資材を投げまくった。

 乾いた地面にぶつかり、土煙を上げる。

 

 「ちぃ。目くらましか!」


 これが俺の作戦だ。

 土煙を上げてバンの視界を悪くし、その隙に近づく。

 即興では、これ以上の作戦は実行できない。

 シンプルだが、この作戦にかけるしかない。


 土煙をどんどん濃くする。

 あたりが全部覆われるほどだ。


 「ごほっ、ごほっ、あの小僧、どこに行きやがった」

 

 俺は足を止める。

 足音で気づかれる可能性がある。

 ここからは慎重に近づくんだ。


 「くっ。こっそり俺に近づこうって腹か。見つけ出してファイアーボールの餌食にしてやる!」


 バンは闇雲にファイアーボールを撃ちまくる。

 風圧で土煙が晴れていく。


 「はっはっは。どうだ。お前の作戦もこれでご破算! 風圧で見通しがよくなったぞ!」


 そして、バンはとうとう俺の姿を捉えた。


 「見つけたぞ! そんな離れたところにいやがったか! 臆病者め! これでお前の作戦はすべて看破したぞ! 俺の勝ちだ!」


 だが、バンが見つけた俺の姿は、蜃気楼のように消えた。

 代わりに立っているのはソフィアだ。


 「なっ! バカな! お前は死んだはずじゃ!」


 「レイス! 今よ!」


 バンの背後からこっそり近づいていた俺は、とどめの一言を発する。


 「三秒金縛り!」




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