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 工場跡地にやってきた。

 そこでは、盗賊団の面々が俺のことを待ち構えていた。

 

 「くっくっく。よく来たな。美しい兄弟愛だ」


 バンが現れる。

 さらに、その後ろからある人物が現れる。

 

 「ふっ。レイス。愚かな弟よ。まんまと罠にかかったな」


 「ウ、ウィリアム! お前、捕まったんじゃなかったのか!?」


 ウィリアムは普通に立っている。

 どう見ても捕まっているという感じではない。


 捕まっているというのは嘘だったのか!


 「お前のことを誘い出すための罠だよ。このバンと手を組んだんだ」


 「な、なんでそんなことを……」


 「決まっているだろう! お前への復讐だ! さっきは卑怯な手で俺に勝ったつもりかもしれないが、今度はそうはいかないぞ!」


 ウィリアムが凄むと、盗賊団のメンバーもぞろぞろと集まってくる。


 「さあ! レイスのことを捕らえた奴にはアルバスノット家から賞金を出すぞ! 捕まえろ!」


 号令がかかり、盗賊たちが一斉に襲い掛かってくる。


◇ ◇ ◇


 「ウィリアム! お前のことはバカだバカだと思っていたが、バカを通り越して外道に落ちたな! お父様にはなんて言い訳するつもりなんだ!」


 「はっはー。お父様にはなにも報告しなければいいだけさ! お前はとっくにウチの人間じゃないし、死んだって誰も悲しまないだろう!?」


 ギィン! キィン!


 俺は逃げながら剣を振るって盗賊たちと戦った。

 近くに来た人間から金縛りで動きを止め、すかさず斬りかかる。

 ゴブリンのことを退治したときと要領は同じだ。


 「囲め! 一人ずつ戦うな!」


 バンの的確な指示が飛ぶ。

 そのせいで、ほとんど敵を削れない。

 ここは一旦退いて各個撃破していきたいところだ。


 工場跡地から出て、近くの資材置き場へ逃れる。

 ウィリアムと盗賊たちがあとを追ってくる。


 「バカめ! そっちは行き止まりだぞ! 袋のネズミだ!」


 ウィリアムの言う通り、細い一本道の先には壁があるだけで、逃げ場がない。


 「あっはっはー。観念するんだな!」


 「はあ、はあ、観念するのはお前らだ!」


 俺はあらかじめ用意しておいたロープを引っ張る。

 すると、頭上から無数の木材がガラガラと落ちてくる。

 俺が用意していた罠だ。

 待ち伏せされている敵のアジトに無策で飛び込むほど耄碌もうろくしちゃいない。

 反撃するための準備はちゃんとしていた。 


 「バカめ! こんなもの当たるか!」


 「三秒金縛り!」


 「なっ!」

 

 一番後ろを走ってきていたウィリアムと、一番前を走っていた盗賊に金縛りをかける。

 ここは細い一本道。

 前と後ろを塞がれた奴等に逃げ場はない。


 「レ、レイス! 兄を殺すつもりか~~~!」


 ガラガラガラ、ドガシャーン。


 木材が轟音を立ててウィリアムたちに降り注ぐ。

 そして、ぐしゃぐしゃに落ちた木材の下からは、誰も出てくることはなかった。


 ウィリアムと戦うことは想定していなかったので、手加減をしてやる余裕はなかった。


 これも自業自得……。

 運が良ければ死んではいないだろう。

 

 「すまないが、ソフィアとの約束のほうが大事なんだ。恨むなよ、ウィリアム」




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