32 輿入れ準備
2月の始め、工事が進み、段々と形になってくると、更にもう一つの村が、計画に乗っかってきた、さらに100名の人工を確保できる見通しが立った。工事は凡そ7割程度進んでいる。もう少し。
「惣佐衛門殿、お話があります」
俺がいつもの様に、奥の間で陰々鬱々としてたら、母が、スッと襖を開け部屋に入ってきた。
襖を音もなく閉めると、歩み寄り、俺の前に座り、
「涼香は4月に嫁ぐことになりました。それまで準備を整えなければなりませぬ。惣佐衛門殿もお忙しい様なので、母が取り仕切ってもよろしいですか?」
そんなに進んでいたのか……ちょっと待て、この一月まともに涼香殿と会話をしていなかった。相変わらずの無視っぷりに嫌気がさしていたのだが、そんなことに……なっていたのか。
「惣佐衛門殿、如何いたした? お顔の色が優れませぬが、大丈夫ですか? 母の話を聞いておいでか?」
「ああ、もちろん、聞いておりました」
聞いてはいたが、その先の思考が止まっていただけだ。
4月か……今が2月の初めだから……残り2か月。間に合うかな……
「それでは、母が準備いたします」
というだけ言ったら部屋の外に消えていった。
直ぐに、何やら、部屋の外で話し声が聞こえたので、俺も襖を開けると、廊下に涼香殿と母上が笑みを漏らしにこやかにというか嬉しそうに会話をしていて、俺が襖を開けたことに気付いた二人は俺を一瞬見て顔を逸らすと、そのまま二人でそそくさと廊下の曲がりに消えて姿が見えなくなった。
何を嬉しそうに、楽しそうに話をしていたんだ?




