無題Ⅱ
記憶から
ことばへ
ことばから
記憶へ
夜空に寝そべっている神様
見たことはないけれど
目を閉じると
ことばになる
記憶へ
骨の髄まで染渡る
神様の息吹が
ことばへ
やがて空中分解する世界へ
デブリにすらなれない人間へ
染渡る
あなたの
記憶と
わたしの
記憶が
まるでちがうように
生活は流転し 燃え尽きるうちに
神聖は俗となり
いつか生となる
季節のうつりかわりが
信仰めいた希死念慮をもよおすとき
わたしたちは
人間らしくなる
人間は
くずですらなく
記憶とことばで形をとどめるだけの
みにくいいきもの
みにくいから
人間でいられる