四話 side:B 「洞窟前と内部での出来事」
勿論会話文同じです。ただアザレアの心情描写からリリウムの描写に変わっています。
老婆を見送り、しばらく歩いていると女性の悲鳴が聞こえた。リリウムは急いで向かう。すると、盗賊らしき男とどこか見覚えのある女が居た。すると盗賊らしき男が言う。
「おら!離せや!てめぇのモンは洞窟の奥深くに眠らせてやった!もう諦めるんだなぁ!」
どうやら何かを盗られて隠されたらしい。だが、盗ってわざわざ隠すという事は盗賊ではないのか?などと考えていると女が反発する。
「なにをー返すんだー!」
激しく抵抗して、殴ったりしているが、効果は全くない。ついには男が、
「もうしゃらくせぇ!おらよ!」
「キャー!助けて!」
男が拘束している。力が強いため、女の力では振り解けない様子。このままでは不味いため急いで走る。
「やめろ!そこまでだ!」
リリウムは剣を構えて戦闘態勢に入るが、何故か男は驚き目をパチくりさせている。
「き、貴様は!隣街で有名なリリウム・マラコイデス?!」
などと可笑しな事を言っているが、勿論リリウムには何の事かが分からない。
それを聞いたリリウムは首を傾げながら、
「俺ってどこかで有名なの?」
本気で分からないので聞いたのだが、リリウムが話した瞬間、怯えて逃げてしまった。
またまた首を傾げるリリウム。何故、質問しただけなのに逃げるんだろう。便所にでも行きたかったのかな?
「何で逃げたんだろ?急用でもあったのかな」
などと見当違いでとぼけた事を言っているが、間違いなくリリウムの素なのだ。
女性は色々と動揺している様子。助けられて動揺しているのか?それとも男が逃げ去った事に動揺しているのか?後者だった場合はリリウムも同感だ。女性が大丈夫かどうか問う。
「大丈夫ですか?と言うか、あなた---いや貴方様はあの時の……」
あれ、この人って確かこの国のお嬢様?何でこんな所に護衛なしで居るんだ?思春期だから遠出でもしたかったのか?
「あ、ありがとうございます。実は、先程の悪党に私の大事な物を隠されてしまいまして……」
ああ、なるほど。大切な物を盗まれて隠されたからここに探しに来たのか。
そうリリウムは考えるが、それは護衛なしでここに来る理由にはなりえないし、そもそもアザレアが来る必要はない。だがリリウムはその事に気付かないで納得してしまっている様子。
俺も実は宝物を探しに来たわけだし、手伝ってあげようかな。
「そうなんですか。実は私もこの洞窟に隠されている宝物を探しに来たんですよ。良ければ協力しましょうか?」
「ええ、ぜひとも宜しくお願いしますわ!」
人間が隠す場所には限度がある。それにスキルによって物探しなど容易い事なのだ。
ただ、洞窟には魔物も生息しているため、お嬢様一人では厳しいだろう。などとリリウムは考えながら洞窟に入る。
洞窟に入ると、暗かったためすぐにランタンをつけた。お嬢様もランタンを持っていたので順次てつけた。
しばらく歩いていると、お嬢様が話しかけてくる。
「リリウムは宝物を探しに来たのでしょう?その宝物とは何なのですか?」
その事だが、実はリリウムにも分からない。家の物置で埃を被っていたので、御先祖様に関する何かだろうかと推測している。
「私にも分かりません、家の物置を整理していた時に地図を発見しまして、印がこの洞窟を指していたんです。お嬢様は何を隠されたのです?」
「ゆ、指輪です。結婚指輪を盗られてしまいまして……」
「へーそうだったんですか。災難でしたね」
それは大切な物だ。そんな大切な物を盗むなんてゲス道でも歩んでいるのか。とにかく、お嬢様のためにも早く見つけ出さないと。
勿論リリウムは気づいていない、指輪を嵌めた翌日に盗られている事に。そしてリリウムが天然な事に気づいていないアザレア。
会話も途切れ、淡々と進む事数分。
ガタゴトゴトと鈍い音がする。
「なんですのこの音?」
とアザレアが言う。確かにこの音はなんだ?ふと上を見上げると、岩がゴツゴツと音を響かせ落ちてきた。リリウムはとっさにアザレアの手を掴む。
「危ない!お嬢様こちらに!」
そう言いながら走り、避ける。何とか避けれたが、岩が落ちてくる事など今まで無かったのに何故急に落ちてきたんだろうと疑問に思うリリウムだが、偶然落ちてきた事にした。お嬢様の身の安全を確認する。王の娘に怪我などしてしまったら一大事なのだ。
「大丈夫ですかお嬢様?怪我はないですか?」
「え、ええ、心配ありません」
そうアザレアが乱れた服を叩き直してから、答える。リリウムは前を向き、これ以上の危険がない事を確認して進む事にする。
「それでは先に進みましょうか」
リリウムが促し、歩き出す。
次回は洞窟




