一話 「結婚式中の暴挙」
どうもテキラデです。
この度、アイリス大賞8に応募することにしました。
至らぬ点があるとは思いますが宜しくお願いします!
とある文明国に一人のお嬢が居た。白を基調とした床にレッドカーペットが敷かれ、細かな装飾は一流の技師によって丁寧に作られている。天井には一個日本円で百万、いや千万を超えると思われる、ダイヤモンド製のシャンデリアが吊るされている。そんな如何にも金持ちそうな部屋にとある人物が現れた。
純白のドレスに身を包み、スレンダーな体型、正に全てが黄金比の女性。その名はアザレア・アラモード、王の娘にして国一番の美少女であった。そんな彼女は今日結婚式を挙げる。
「お嬢様、こちらで御座います。お相手方はもう待機しておりますのでどうぞ隣へ」
「分かったわ」
国一番の美貌の持ち主、アザレアは憂鬱な気分だった。実は彼女、結婚相手の事が好きではないのだ。だがしかし、相手がイケメン、天才、金持ち、貴族のおぼっちゃんという四点セットの非の打ち所がない人物だっただけに結婚が勝手に取り付けられたのだ。
はあ……。恋ってなんだろう。
無駄に長い廊下に敷かれているレッドカーペット上を歩きながらそう考えた時、一つ思い出した、いや、思い出してしまった。
『恋ってなんだろう』
昔そう呟いた時があった。ただ一人それに答えてくれる人が居た。だがその人の顔も名前も覚えていない。覚えているのは---------
頭を振り、忘れる。今更覚えてもいない相手の事を思っても仕方ないのだ。それに、結婚が決まった相手も悪い人ではないし、きっと幸せにしてくれる。そう思う事にして、いよいよ結婚式場前。
相手は見てくれがいいだけに、何を着ても似合うが、今日は特別美しいスーツを着ていた。
それを見ても何も思わないが。
互いに会釈しつつ、入場を待つ。
そしてついに----------
「新郎新婦、入場----」
大きな扉が開かれる。そこに居たのはお嬢様の結婚式と言う事で、招待された国民だ。
一斉に拍手が飛び交う。
これは結婚式と言っても一種のイベントなので、衣装を見せつつ入場する。
一通り、式の一連が終わり、国民達の前に出る。
その時、一人の国民と-----
◇◆◇◆◇
いやぁ、これがこの国のお嬢様かぁー。
そう思ったのは、どこでもいるようなパッとしない冒険者。リリウム・マラコイデス。
冒険者と言っても名ばかりで、あまり遠出はしない。精々行くとしたら近くの洞窟くらいだ。そして今は、父親と母親が残してくれたボロボロの小屋で慎ましく暮らしている。そんな彼はお嬢様の結婚式というわけで、招待状が贈られて来たため、今こうしてここに居る次第である。
どうやらこの招待状、国民の中にランダムで贈られ、贈られた者は必ず来なければいけないらしい。
お嬢を見ても、「あのドレスいくらなんだろう」としか思わない程の鈍感で天然である彼は、お嬢が前に出てくるのを淡々と眺めていると------
◆◇◆◇◆
〈目が合った〉
◆◇◆◇◆
アザレアは心が痺れ、酷く胸が痛む。誰だか分からない男を見ただけで心が打たれ、全身に電気が走る。もう全身は鳥肌が立っている。
それを心配そうに見守る新郎だが、声はかけられない。何故なら今は結婚式中であり、結婚式場自体が聖域であるからだ。そんな神聖なる儀式中に愚を犯す事は貴族である立場上、決して、してはならない。
アザレアは暫しそこに固まり、ついには無意識にその男に声をかけた。
「あなた、私の足を舐めなさい」
◇◆◇◆◇
お嬢はこちらを向いて固まっている。
一体どうしたんだろう?体調でも悪いのかな?
と純粋を通り越しての鈍感ぶりを発揮しつつそう思う。
すると、お嬢が口を開いた。
「あなた、私の足を舐めなさい」
---------は?一同が「「「え?」」」と声をあげる。
それもその筈、お嬢はこの場では相応しくない、とんでもない事を言い出したのだ。
「ほら、そこのあなたよ!」
と声を張り上げつつ、一人に指を指す。
その人物とは。
「俺?!」
そうリリウムだったのだ。リリウムは驚き、あたふたしている。そんな事はお構いなしにお嬢
はさらに続ける。
「そう、そこのあなた。足を舐めなさい。そうすれば、命だけは助けてあげるわ」
何を言い出したのかと思いきや、何故、ただ結婚式を観に来ただけなのに命まで取られなければならないのか、彼にとっては激しく疑問だが、ここはとにかく自分の誇りを守るため(大したものはないが)断らなければならない。
「大変申し訳ありませんが、それはできません。俺---いや私にも誇りがあります故、何卒ご容赦下さい……」
と丁寧に断ったつもりだが、何故か、お嬢は顔が羞恥に染まり、こう言い放った。
「ならば……!お金もあげるから!」
いやそう言う問題じゃなくて……。何故、そこまで足舐めに固執するのか分からないが、また断る。
「できません」
「じゃあ、私と一晩寝る権利をあげるから!」
流石にこれには新郎や国民などの式場に居る人々は度肝を抜かれた。しかし、そんな事も気付かないリリウムは--------
「できません」
はっきり、きっぱりとそう言った。それを聞き何故か泣きそうお嬢。それにも気付かないリリウムはこう言った。
「ただ一つ権利を下さい」
「いいわよ!何でも言いなさい」
お嬢は笑顔になり、聞く態勢に入った。
「俺が式場から退出する権利を下さい。俺は洞窟を探索しなければならないんです」
ぐっと拳を目の前で握り、目を閉じてそう言った。途端、笑顔になったお嬢はまたまた悲しそうな顔になり、
「分かったわ……そこのドアから出れるわよ……」
俯き、今にも泣きそうである。
「ありがとうございます」
と丁寧にお辞儀を残して、結婚式場を後にしたのだった……。
次回、お嬢のアザレアが悪役となってしまう?




