9 現実で起こった悲劇
(コンビニ・ロートンにて)
「秀ちゃん今日は夜勤かね。精が出るね~」
高木の猟師仲間である磯崎がロートンを訪れていた。
「磯崎さんもこんな時間に珍しいじゃないっすか。あ、明日朝の罠見回り行けなくなってすんません!」
高木は明日の朝、猟友会の罠見回り当番であったが、急なシフト変更に対応してくれた優の代わりに今日の夜勤に入っていた。
「見回りなんていくらでも代わりがいるから大丈夫大丈夫。秀ちゃんいっつも頑張ってくれてるし。そういえば優くんは今日はいないんか。珍しいね~」
優は夜勤がメインであり、朝方に猟友会員がよく来店することから、顔馴染みである。優は人当たりがよく猟友会員からも親しまれていた。
「優くんは猟師にならないかな?あの子なら大歓迎だよ」
「優はそれほど興味無さそうなんすよね~。本当は店も猟も任せたいとこなんすけど。ただあいつ、明るくて人懐っこいのに友達少ないから、猟師になったら同年代の友達とかもっとできなそうだし」
磯崎は、優に友達が少ないことを聞いて驚く。
「え!?優くんいっつもニコニコして俺らじじぃと楽しく喋ってるのに友達おらんのか!?」
「あいつは浅~い関係を広く持ってるタイプなんすよ。だから顔見知りは多いのに人付き合いはほとんどなくて。仕事がなければずっと引きこもってますよ。でも最近バイトの女の子とちょっと良い感じっぽくて!もしかしたらあいつにとっていい転機になるかもですわ」
「そりゃ今度詳しく聞かないとな~」
そう言うと磯崎は帰っていった。
(同時刻、優のアパートにて)
1階の部屋が赤く照らされているのを1人の住民が見つけた。
「おい!1階から火が出てるぞ!火事だー!みんな逃げろー!」
住民達が騒ぎだす。
古い木造アパートだ。火はあっという間に2階にまで燃え広がった。
ウーーーー カンカンカン
消防車の音が街中に響き渡る。
アパートの住民が外に集まっていた。2階建ての古い木造アパートに住民はそれほど多くない。
「201号室の若い兄ちゃんがいねぇぞ!」
「あの兄ちゃんは夜勤の仕事じゃなかったか?」
「この状況でいないなら仕事行ってるんじゃないか?荷物もいくつかあるだろうけど可哀想に。どの道もう入れそうにないな」
消防車が到着する前には、2階にまで火が上っていた。
激しい炎と煙に消火活動は難航。アパートは骨組みだけを残して全焼となった。
火は101号室から燃え広がっていたと判明。101号室にはいくつかの練炭の跡と焼け焦げた死体が発見されたことから、練炭自殺の際に畳に火がついたものと推察された。
そして、上の階である201号室からもう1人の焼けただれた遺体が発見された。




