表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/19

14 パーティー結成

いきなり何言ってんだ?このあたおか女は。


「あんたはザコいけど、さっきの黒服の攻撃を受けても怪我してない。正直ビックリしたけどつまり弾除けに向いてるの!ってことは、この可憐な私を守れる資質があるわけ!お分かり!?」


自己中の一方通行。。。罵倒してるくせに守れだと!?

ほんとこいつ腹立つな!仮にツンデレだったとしても許容できないレベルのツンだぞ!


苛立つ気持ちを抑え、俺は丁重に断りを入れたのだが、


「え?あんた私の風呂場覗きしたこと忘れたの?不法侵入した上で未成年の風呂場を覗き見したんだよ?言いふらしちゃうよ?」


ナチュラルに脅されている。そもそも冤罪だし。わざとじゃないし。

。。。でもこういうのって、痴漢の冤罪と同じで、恐らく俺に人権ないパターンだよな。。。


「噂が広まったら普通に暮らすなんて多分できないよ!?それに、あんたももう黒服達に顔知られただろうから狙われるんじゃない?なら私と一緒の方が色々と都合が良いと思わない?」


脅しからの、まるで自分にもメリットがあるかのように思わせる提案。こいつは処世術に長けているんだな。バカのくせに。

ただ、つぼみは俺を脅して利用しようと考える一方で、助けを求めているんじゃないかとも思える。一切そんな素振りは見せていないが。

つぼみは何故かあの黒服達に追われている。一応未成年だし当然怖いだろう。覗き見してきたと思っている人間に一緒に来いと言うなんて、よほど逼迫しているんじゃないのか?(覗きは冤罪である)

多分この性格だから頼れる友達もいなさそうだし。


つぼみの真意を確認しておきたいと思い、ちょっと強気に出てみる。


「先に確認しておく。お前はなぜ黒服達に狙われていて、これからどうするつもりなんだ?同行するかどうかは聞いてから判断する」


予想外の返答だったのか、つぼみは少しモジモジしたあと、観念したように経緯を語った。



つぼみはウリボ村出身で、物心つく前に両親は事故で亡くしているらしい。村人みんなで育てられたそうだ。多分そこでダダ甘やかされた結果、こういう人間に成長したのだろう。


都市部への憧れを抱いた彼女は、村人から反対されながらも1人で旅立ったらしい。

都市部の街についた彼女は手っ取り早くお金を稼ぎたいと考え、そこら中にある「高収入」という看板に惹かれたようだ。

その看板を設置していたのはジェー教という宗教組織で、男性信徒からお布施を受け、PAPA活なる儀式で幸せに導くという教えらしい。(教えなのかそれ)

女性は信徒ではなくキャストという存在となり、男性信徒からのお布施額で自分の財布が潤うらしい。中には裏オプと呼ばれる闇背信行為をして荒稼ぎしている者もいるそうだ。


つぼみはよく分からないままPAPA活をすることになったが、男性信徒があまりにも気持ち悪くてその場から逃げてしまったらしい。そしたらジェー教関係者の黒服達が追いかけてきたそうだ。


いかにもきな臭い組織だ。関わったら最後、死ぬまで飼い殺す気なんじゃないだろうか。まさしく、田舎出身で右も左も分からない若者が金に釣られて騙される典型的なパターンだ。

まあ確かに顔は良いからジェー教的にも稼ぎ頭候補だったんだろう。洗脳してしまえば良いとでも考えて執着したのか、はたまた内情を知られているかもと考えているのか。


逃げ足が無駄に速いつぼみはなんとか逃げ延びていたようだ。

で、ジェー教から逃げ出した翌日の昼前、身を隠していた銭湯で風呂に入ったら俺と出くわしたらしい。

あいつさっき、自分の風呂場だの言ってたが嘘じゃねえか。どこまでも強かなやつだ。。。


ただ1つ、つぼみの言葉から興味深い発見があった。


「風呂場であんたをビンタしてぶっ倒したあと、ボコボコにしてやろうとしたけどあんたどこにもいなくなってた。あれは一体どういうこと!?」


俺の記憶では、ビンタされた直後に現実で目を覚ましたはずだ。つぼみの話どおりなら、現実で目を覚ましたタイミングでこちらの世界からはいなくなっている?

そういえば伊藤と馬鹿車で移動中に寝落ちしたっぽいタイミングで現実の俺は目を覚ました。

こっちの世界で寝ると現実で目が覚める?

そうなると、なんでビンタで現実世界に戻っている?ビンタで気絶でもしたのか!?


薄々考えてはいたが、これは普通の夢ではないっぽい。

本当に寝ている間だけ異世界にいるのかも。


今回この世界に来たときの場所は、前回寝落ちした場所と同じ所だと思うから、場所は引き継がれているっぽい。

伊藤がいなかったのは、この世界から消えたまま時間が経っていたから??

釈然としないのは、初めてつぼみと出会って現実で目覚めた後、もう一度こっちに来たときにはのぼら山にいた。時間はほとんど経過してないはずだが、なぜ場所が引き継がれていないのか。ビンタで気を失ってセーブポイントがバグったとか??


そして最もな疑問。何故まだ現実世界に戻らないのか。

この世界での時間は現実の時間とリンクしていると思われる。馬鹿車で寝落ちしたのは夕方前で、現実で起きたのも夕方前だったし、今回もこっちの世界に来たときは、現実と同じく夜だった。

俺は大体6時間程しか睡眠をとらない。つまりこっちの活動時間は6時間程のはずだ。だが今回は結構時間が経っているはずなのに全然現実に戻らない。途中何度か気を失ったり寝落ちしたはずなのに、戻るどころか場所も変わっていない。


寝ている間だけの条件が外れたか、それとも現実世界で何らか起きられない状態にでもなっているのか?確か酒飲んで寝ただけだよな。もしかしてアル中で倒れた!?、、、まさかな。


考え出したらキリがない。今はとにかく自分の置かれている状況を把握しなければ。

つぼみと一緒というのは癪だが、伊藤がいない以上この世界の情報を手に入れるためにはこいつと一緒に行動した方が1人で動き回るよりは良いかもしれない。

つぼみに利用されるのではなく、俺が利用してやる。


「状況が見えるまでは、お前と一緒に行動してやる。俺は斉藤 優だ。」


「お前じゃなくてつぼみと呼びなさい!優!」


こうして、利害の一致により謎のパーティーが結成された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ