12 ノリツッコミは全力投球で
なっ、なんでこんなところに咲ちゃんが!?
そんな疑問を投げかける間もなく大振りのビンタが飛んできた。
痛っったぁぁ、、、って程でもなかった。俺丈夫になってる??
それにしてもいきなりビンタされるとは。。。
あれ?なんかデジャブを感じるような。。。
「アンタこの前の覗き魔ね!!逃げられたと思ったらこんな所で再開するとはね、この変態!!」
めちゃくちゃ罵られている。俺は罵倒されて喜ぶタイプではない。
。。。って、えぇ!?もしや風呂場で咲ちゃんに逢った夢がリンクしてる!?
「ま、待って咲ちゃん誤解なんだ!俺もなんであんな所にいたのか分からなくて!!!」
俺は必死に訴えた。こんなに必死になったの初めてかも。
「黙れ外道!だいたい咲って誰!?人違いしてる?それとも私のこと勝手にそう呼んでんの!?きっしょ!頭沸いてんじゃないの!?」
クッソ、口悪ぃーーーーー
何この子。。。顔は咲ちゃんそのもので激可愛いのに性格がまるでゴミだ!俺の中の咲ちゃんを勝手に汚されたような気分である。
何か聞こうにもすでにグーパンを構えている彼女に対し、どう立ち向かおうか。
そんなことを考えていた時、黒いスーツにグラサンをかけた怪しい二人組の存在に気付いた。
男達はこの子を追ってきていたようだ。変なところに巻き込まれたな。。。
「見つけたぞ!ちょこまか逃げやがって!これ以上逃げ続けるのなら、ちょっと痛い目に遭ってもらうぞ!」
そう言うと、怪しい男の1人が右手を天に掲げ手を開いた。
なにやら物騒な展開になってきたな。
部外者は早々に立ち去ろうと考え、走って逃げようと思ったら怯えている彼女の顔が目に入った。
やっぱり可愛い顔してるなぁ、顔は。それにしても、この性格の女が怯えているというのはギャップというのか、2割増しくらいで可愛く見える、顔が。
可愛い顔に免じて、仕方ないから助けてやるかと動きだそうとしたら、いきなり彼女が俺を頭の上に持ち上げた。さっきのビンタといい、こいつ結構力強いな。
「食らえ!槍雨」
黒服モブがそう唱えると、掲げた手が淡く光る。その光が俺の少し上空に移動すると、光の中から雨が降ってきた。
雨の勢いは強めのシャワーくらいだ。夜通し山に入っていて風呂に入れていなかったため、なんだか気持ちいい!なんだただのご褒美か!!
彼女は何故か俺を傘のようにして雨に浴びないようにしている。この子は濡れたくないのか?
続けて黒服モブが開いていた手を握った。すると、、、
痛っ、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛ってぇ!!!
ただのシャワーが針のようにチクチク刺さってきた。これが黒服モブの信仰の力だろう。結構強い攻撃だが怪我する程ではない。
それでも痛ってぇなコノヤロー!てかこの女、俺を楯にしやがった。なんてやつだ!咲ちゃんに似てなかったらぶん殴ってたところだ!
攻撃を終えたところで、黒服モブも彼女も唖然とした表情をしている。何かおかしなことでもあったのだろうか?
とりあえずこのクソ女は後で懲らしめるとして、黒服モブには報復措置を講じることにした。俺はモブに厳しい男だ!
ちょうど足元に手頃な石ころを見つけた俺は右手に握りしめた。どでかいイノシシすら仕留めたライフルのごとき俺の投石を披露しよう!前はドングリだったけど。
なんか名前あった方が格好ついて良いよな!!
「やられたらやり返す。食らえ、フルパワースナァイプ!!!」
手から石を放つ直前、彼女がボソッと呟いた。
「えっなに?すねいぷ?」
そうそうそう、エ~クスペクッ、、、らねーわ!!!
しまった!!
思わずノリツッコミした俺は地面に向かって石を投げつけてしまった。地面に当たった衝撃で石はバラバラに砕けた。
おいこいつわざとか!?投石があまりの威力だったのか、現場に冷たい空気が流れた。威力が強かったからね。ねっ!?
「お、脅しのつもりか知らんが、当てる気がないならむっ無駄だぜ?」
若干口元を歪めた黒服モブがやや動揺した口ぶりで言う。
やっぱりだ!この世界で俺は強いんだ!それも相当に!!
そして耐久力も半端ないのだろう。おそらくさっきの雨攻撃はもっとダメージを与えるはずだったんだ!だが俺はイノシシ食ってから痛みに強くなったし相当な回復力を手に入れた!つまり俺はこの世界で無敵なのでは!?無双だ無双!!
変な邪魔が入ったが、問題ない。仕切り直そう。
近くの木の下に普遍的なドングリがあった。石ころだと殺してしまっていたかもしれないから、これくらいがちょうど良いだろう!先の展開が目に見えて、思わず笑みが溢れてしまう。戦意喪失したモブ達に何をさせるか悩みどころだ。
「やられたらやり返す。食らえ、フルパワースナァイプ!!!」
先ほどの出来事をまるで無かったことにするように、同じセリフを叫び、確固たる自信とともに全力でドングリを投げつけた!
ポテッ。
放たれたドングリは、黒服モブの額に当たると、そのまま地面に落ちた。
え。。。
その場にいた全員の表情が固まった。侘しげな風が冷たく通り抜ける。
あれ、威力なくね??対して速くもなかったし。。。
「フッ」
いやしい顔で彼女が鼻で笑った。
マジこいつ後で1回殺してやる。。。
、、、って!そんなことよりこれはどういうことだ!?無言でもう1つドングリを投げてみたが、当てられた黒服モブにダメージはないようだ。地味にコントロールは良いのね、俺。
さぁて、これはまずいぞ!!仰々しく出張ったのに倒せる気がしなくなってきた。よく分からないが力が発動しない!!
彼女は何か攻撃手段を持っていないだろうか?癪に障るがここを切り抜けるためには致し方ない!
おい!お前何か攻げ、、、は!?
さっきまで後ろにいたはずの彼女の姿がない!?
ま、まさかあの女、俺をおとりにして逃げやがったのか!!!
俺の一連のコント?が終了したところで、黒服達はナイフを舐めるような笑顔で近づいてくる。さあ、どうしましょう。。。
あの女絶対ぶっ殺してやるーー!!!




