11 泣きっ面に咲!?
イノシシを調理する!なんだかワクワクしてきた!
丸焼きはサイズ的に無謀だからテキトーに捌いてみよう。
イノシシの牙でできたシシ刀(牙折っただけだけど)を持ち、肉が付いてそうなお腹を開いてみた。
猟師達が捌く様子を見てた割に、いざ自分で捌くと結構抵抗があるものだ。世の中にはこういう仕事をする人がいるから、からあげさんも俺は揚げるだけで出来るんだよなぁ。感謝しないと!
なんとなく肉を取り出せたので火にかけてみる。
思ったより火が通るまで時間がかかるなぁ。
火力を上げたいが、やりすぎて火事になったら、と考えてしまう。こんな山、火事になっちゃえと思っても、いざやるという度胸はない!
表面が焼けたっぽいので一口食べてみた。
味は思ったより普通だ。そんなことより、飲み込んだ直後、まるで血が沸き立つかのような感覚が走ったのだ。
イノシシ肉はスタミナがつくというが、そんな次元ではない。盛り上がりすぎて爆発しそうな勢いだ!
そして、急激に食欲を掻き立てられるようになった。美味しさ以上に体が肉をもっと求めている。この肉には依存性でもあるのか!?
気付けば、雑に捌き夢中で食べ続け、肉のほとんどを胃袋に格納した。俺はそんなに大食いじゃなかったはずだが。
食べ残りはそのまま放置してても勝手に分解されるだろう。
イノシシを食い終わったところで、この場所から動くことに決めた。体力が回復どころか有り余りすぎるほどになったからだ。イノシシパワー半端ねぇ!
伊藤の村を目指したいが、自分が今どこにいるのか分からない。てか普通に遭難している。
ここはどの辺なんだろ、、、って、何か空暗くなってね?
この世界に来たときから空は暗かったか。でも信仰の力が発動してるっぽくて、割と遠くまではっきり見えていたよな。今はほとんど見えないんだけど。。。いつからこうなってた!?徐々に見える範囲が狭まっていたのかもしれない。火の明かりもあったせいなのか、イノシシに夢中だったからなのか、全然気にしていなかった。。。
夜が明けるまで待つにしても、することないし微塵も眠くないしな~。シシ刀を杖代わりにすればゆっくりでも進めるか!
シシ刀で辺りを叩きながら下山を試みることにした。
突然の出来事だった。
歩いている最中、いきなり右太ももに痛みが走った。何かが太ももを貫通したようだ。
何者かに狙われているのか!?
いきなりの出来事で周囲の警戒に神経を集中させたからか、痛みはそこまでではない。問題は何一つ気配を感じなかったことだ。
相当遠くから狙撃されたのだろうか?空はまだ暗いから肉眼ではそれほど遠くまでは見えないはずだ。俺見えてないし。
さっきまでの俺のように見えているのか!?
動かずにいるのは危ないため、木の陰にでも移動しようとしたら再び弾丸のようなものに襲われた。
運良くシシ刀に当たっただけだったが、体勢を崩してしまい三度山を転がり落ちることになった。
目が回る回る。景色がグルグルする。気持ちわりぃ。。。
何かにぶつかって止まることもなく、最長不倒の転がりを見せる。
突如、体が投げ出された。分かりやすく崖になっていたようだ。これはK点越え確実だなぁ。。。言ってる場合か!
あー死んだ。夢の中で死ぬわー。ん?夢の中ならいいか?でもなんか嫌だな~。
俺は崖に沿って落下していった。
バタッ。目の前が真っ暗になった。
。。。あー死んだわー
と思ったが生きてた!
空は明るくなっているため、そこそこの間意識を失っていたっぽい。
あれ?そういえば太ももの痛みがない!それどころか崖から落っこちたはずなのにどこも痛くないぞ。
自分の身なりを確認すると、転がり続けた結果ロートンの制服はボロボロになってしまったようだ。現実世界だったら完全に買い取り処分だな。。。
相棒であるシシ刀は転がる途中で落としてしまったようだ。。。
これは本当に夢なのだろうか?
ふとそんな疑問が浮かんだ。やはり色々と出来すぎている気がする。痛みを感じるのも変だよな?
真面目に異世界に来ている的なことが起こっているのだろうか!?
前この世界に来たときは、気付いたら現実世界で目を覚ましていた。だから夢だと感じていたが、寝ている間だけ異世界転位みたくなっていたりするのか??異世界転位的なのってそんなにポンポン行き来するものなのか??
それともソートーハードオンラインのようにゲームの世界にいるのだろうか?
疑問が尽きない。だがどれも確証を持てない。まぁきっとそのうち現実世界の俺が目を覚ますから、このままこの世界に居続けることはないだろう。
それにしても散々な状況だ。。。
足を踏み外して転がり落ち、イノシシ避けて転がり落ち、イノシシ食い終わったら狙撃されて転がり落ち、そして今ここにいる。まさしく転落人生だ。
泣きっ面に蜂?蔦、キノコ、イノシシ、スナイパーの間違いだろ。次は何が来るのか考えるだけで鬱になるわ!
一旦落ち着いたので、転がり落ちてきた方向に目を向ける。目の前一帯は全て切り立った崖になっている。
こんな崖を落下して生きている自分が恐ろしい。。。
のぼら山は標高も然ることながら果てしなく長い山脈だった。
こっちは全面崖のため、山の途中にあると言っていた伊藤のいる村は反対側にありそうだ。さすがに登れそうにないな。
今俺が立っている場所は崖に沿って出来た道のようだ。この道に沿っていけば人が住んでいる村か何かがあるかもしれない。クソな草も生えてなさそうなので道に沿って歩くことにした。
反対側にはどうやって行くのだろう?トンネルでもあればなぁ。
そんなことを考えながら崖に目を向けて歩いていた俺は、前から走ってくる人影に気付かなかった。
ドンッ
「キャッ」
女の子にぶつかってしまったようだ!なんで気配が感じ取れなかったんだ?って、今はそれどころではない!
「大丈夫ですか!?」
と声をかけると女の子が顔を上げた。
、、、え!?さ、咲ちゃん!?
えーーーーーーー!?
思わず叫んでしまった。俺の叫びと同時に咲ちゃん?も
あーーーーーーー!!
と叫び、林に奇怪な二重奏が響き渡った。




