ツートップ
「道は開いてやるよ。二人は目的を果たせ!」
「まどか殿!」
まどかの姿を見つけ、駆け寄るゴルメス。
「傷だらけだな。待ってろ。エリアヒール!」
まどかは範囲回復魔術を使う。瀕死の騎士団もまとめて癒し、立ち上がれる程度には回復した。
「ほう。聖女様の回復魔術は、うちの魔導師何人分じゃ?己が未熟を痛感するわい。ジャン老師が仰るのも当然じゃの」
魔術兵団筆頭術師が、感嘆の声を上げる。ジャンのことを老師と呼ぶことから、牢内で共に研究をしている者のようだ。
「ゴルメス、よく生きていたな」
「友との約定だからな。そちらの御二方は?」
「この戦を仕掛けた者に、物申したい者達……言わば同志だ」
「左様か。私はゴルメスと申す。まどか殿の友だ」
「ラキュオスだ。まどかと同じギルド所属の冒険者」
「ゼロ」
「ゼロはこの企てを起こした首魁を討つ為に、ラキュオスはその背後で操る者を追っている」
「なるほど。では御二方に任せよと?」
「道は作ってやりたいと思ってる」
「承知した。ではゆく道の露、我等が払いましょうぞ!ロイド!精鋭のみを連れて、まどか殿に助力いたす!後は任せたぞ」
「男爵様、それは聞けません」
「何を申す!」
「隊の指揮は、副団長に。私は男爵様に同行いたします。私以上の精鋭は居らぬ……と自負しておりますゆえ」
悪戯な笑みを浮かべるロイド。憧れた丈夫達の本気の戦ぶり、是が非でも傍て見たいと願っていたのだ。
「勝手にしろ!」
まどかは身体中にマナを巡らせ、練り上げている。その両脇にらっくとハンス、後ろにゼロとラキュオスが、ジョーカー、チェリー、コバルトは、上空に待機している。
おそらく、まどかのスピードに着いてこれるのは、このメンバーだろう。メグミは今回、ゴルメス達と馬に乗り、後方からの射手を担う。
「遅れたら置いてくからな。行くよ!炎陣、フルスロットル!」
「「ペネトレイトスラッシュ!」」
「魔剣、雷の型。雷刃一閃!」
「爆速!」
駆け抜ける炎と閃光!爆風を背に、弾丸の如く飛ぶゼロと、疾風となったらっくとハンス。
五人が駆けた後に立っている者は無く、文字通りの道が出来る。
「まどか殿の連れの方々は、皆化け物だな。者共!挟撃を許すな!切り開け!」
道になだれ込む敵兵を ゴルメス達が押し止める。
「えぇい、邪魔だ!真、断頭迅雷!」
馬から飛び降りたゴルメス、スラリと剣を抜き、足元が陥没する程の踏み込みから、裂帛の斬撃を放つ!眼前に居並ぶ兵達の首が、尽く飛ばされた!
「聖女様一行も人外の強さですが、貴方もたいがいですよ男爵様」
「ロイド!口を動かす暇があるなら……」
「わかってますよ!貫け、雷電突き!」
それはロイドがゴルメスから見とった踏み込みの極意。ゴルメスの剣はそこから跳ね上がり、相手の首を狙うが、ロイドはその力を全て突き技に注ぎ、雷速で駆け抜ける!
「うぉらぁ!」
ロイドの技後硬直を狙う者を ゴルメスが斬り捨てる!
「背中がガラ空きだ!悪くは無いが、集団戦には不向きだな」
「精進致します!」
二人のやり取りを微笑ましく見るまどか。丘の上に目線を移し、ゼロとラキュオスに叫ぶ!
「後は好きにしろ!ファイヤーウォール!」
丘を登る二つの炎壁。何者も寄せ付けぬその壁の間を 一気に進む二人。しかし、丘から篠突く雨のように大量の矢が降り注ぐ!
「ラキュオス、俺の陰に」
自ら盾となるゼロ。オリハルコンを貫ける矢など、在りはしなかった。




