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樹海の正体



二人に声をかける者がいた。ガーディアンゴーレムを無力化した侵入者だろうか、どうやらまどかを知る者のようである。


「お前は確か、ラキュオス」


「話は後だ。来るぞ!」


古城の奥から迫る、タールのような物体。純粋なまでの悪意が、まどか達を襲う!


「ちっ!めんどくせぇ。爆炎陣!」


まどかは異次元に荒れ狂うマナを カウンター気味に解放する!まどかの炎に反応し、マナは巨大な火柱となった!


「くっ!森ごと消し飛ぶぞ!」

「私の傍から離れるな!自分の技で消し飛ぶようなマネはしないよ!」


台風の目のように、まどかの周囲だけは術の範囲外らしい。だがその外側は、膨れ上がる炎で古城も水晶も砕かれ、樹海であった場所は、クレーターとなった。


「ちっ、逃がしたか」


まどかは手を薙いで術を解除する。めくれた大地は所々で燻り、ガラス化している。


「見る度に驚かされるな」


「驚いたのはこっちだよ。なぜ森に?」


「依頼調査だ。霞の正体を探りにな」


「わかったの?」


「あぁ。本人から聞いたからな」


「本人?」


「簡潔に話そう。先程の黒い物体、あれは神の使徒だ。名をアニマ。精神攻撃を得意とする亜神。私が追っている混沌の神、その配下という訳だ。

神は私に、精神的苦痛を与えたがっている。理由はわからん。だから使徒も、私の命を奪うことをせず、愉悦混じりに語ったのだ。人がいかにくだらない生き物か、その目で見よ……と言っていた」


「奴はなんと?」


「そこのゴーレムの言うアシムという者、その者を混沌の引鉄として人々に厄災をばらまくつもりだったらしい。つまりは踊らされているだけの者だ。

そのアシムが国王のゴーレムを作っている時、その器に憑依してアシムを甘言にて誘導したのだそうだ。

アシムは抵抗し、大規模な封印術にて城ごとこの地に封じた。使徒は封印されたフリをして、辺りに霞を撒き散らし、精神に働きかける術にて思考を誘導したのだ」


「それが霞の正体か」


「あぁ。あいつは神の戯れを遂行しているに過ぎない。人や魔物など、所詮神の玩具なのだ。そこに感慨も執着も無い。そんな奴が、周囲の影響など歯牙にかけると思うか?」


「そうだな。神って奴はどいつも、こっちの都合なんか関係ないようだ」


「知っているような口ぶりだな」


「そう言えばラキュオスには言っていなかったな。私も、神の使徒ってやつらしい。別の女神の……だけどな」


「っ!そのような事、安易に私に話して良いのか?」


「どうだかな。私はちょっと特殊なのでな。しかし、そうかぁ……アレも使徒なのか」


「私は奴を追う。まどかはどうする?」


「さあな。行き先は同じようだし、とりあえずは同行する。奴をどうするかは、行ってみないとわからんな」


「そうか。では向かうとしよう。話はそれからだな」


「んじゃ、私に掴まって。一気に飛ぶよ!」


まどかはジョーカー達のいる座標を特定し、転移術で飛んだ。だがその転移先には、目前に迫る攻撃が……


「(ちっ!いきなりかよ)爆炎陣!」


渦巻く槍の如く迫る霧の塊を まどかの炎が吹き上げる!


「どうやら、アニマの攻撃の真正面に出たようだな」

「ったく、なんてタイミングだよ」

「アシムも居るようだな。奴は俺に任せてもらおう」


ラキュオスは腰の棒に手を添え、ゼロは身体の具合を確かめる。まどかが術を消し、三人が姿を現す。


「二人共、行ける?」

「あぁ。やっと見つけた手掛かりだ。俺はアイツに用がある」

「問題ない」

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