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出会い、再会 2



「なんだと!このアマ……」


男は剣先をまどかに向ける!その時、


「ウチの連れが失礼した。怪我は無いか?」


音もなく男の背後から声をかける者、男がビクリとし、振り返ったが既にそこには姿は無く、漆黒の軽鎧に金髪碧眼の人物が、まどかと振り向いた男の間に立っていた。


「大丈夫。どうやら懐かれてしまったようだ」


まどかが優しく子供を撫でる。目を細めて気持ちよさそうに丸まっている姿は、まるで子猫のそれである。


「このやるぐはっ……」


はっと気付いた男が剣を振りかざすが、床から突然生えた蔦に絡まれ、動きを止められた。メグミの樹木魔術である。


「街中で剣を振り回すのは、良くないと思うなぁ」


「らっく、そろそろ起きろ。ご主人様を探すんだろ?」


(らっ……く?)


「うーん、ムニムニ……たっちゃん……」


(たっ……ちゃん?今たっちゃんって言ったのか?いや、まさか……)


「おい、らっく!」


「にゅ?スンスン……ご主人様の匂い?」


「っ!な、なぁ、良ければこれから、ウチに来ないか?少し話を聞きたい」


「どうしたの?まどか」

「腹減ったっすよー」


「それは構わんが、食事はいいのか?」


「あぁ、そんな気分じゃ無くなった。道すがら、私達の事も話そう。ここでは落ち着かない」


「了解した」


「でもまどか様ー、なんか帰してくれそうに無いっすよ?」


店にいた男達は、既に全員立ち上がり、まどか達をとり囲んでいる。まどかは子供を抱いたまま、静かに立ち上がると、


「とりあえず、表で話そうか?」


そう言って全員を引き連れて、店の外へ出るのだった。




「さて、ぞろぞろと大の大人が、小娘を取り囲んで、どうするつもり?まさかメンツだとかくだらない理由で、私達を潰そうとか思ってるんだったら、今のうちに帰った方がいいよ。じゃないと、そのメンツ、粉々になると思うし」


「なるほど。口八丁で俺達を煙に巻こうってか?それともワザと怒らせて、隙が出来た所で逃げようって魂胆か。そんな小手先の誤魔化しが、俺らに通用すると思うなよ。大型魔獣も為す術なく追い込まれる、絶妙の連携と研ぎ澄まされた反応速度に、驚愕する間もなくあの世へ送り届けてやるぜ!」


「ちょっと何言ってるかわかりません」


「てめぇら纏めて始末してや……ん?」


まどか達は輪になって、コソコソと話している。


『『『いくよー、さいしょはぐー……あいこで……えー、まどかつよーい……』』』


「んじゃ、メグミとハンス、あと、お兄さんもテキトーに座ってて。あ、お待たせ。いつでもいいよ」


相変わらず子供を抱っこしたまま、右手だけで構えをとるまどか。じわじわと距離を縮める男達。


「んー、めんどくせぇなぁ……一斉に来ればいいのに」


更にジリジリと詰め寄る男達。次の瞬間、全方位から放たれる黒い……


「あーもう、終わっていいよね?炎陣!メガバースト!」


まどかはトンッ、と地面蹴る。男達の目の前でその姿が消え、まどかが立っていた場所を中心に、蜘蛛の巣状の亀裂が走る!

砕けた地面に足を取られ、動けなくなる男達。刹那、亀裂から噴火するように炎が吹き上がる!


「凄まじいな」


金髪碧眼の男が、素直な感想を呟く。炎が収まった後には、黒焦げ半死半生の男達がプスプスと燻って居る。その中心にストンと着地するまどか。


「一応、死なない程度に手加減したつもりだけど?もう帰って良いよね?」


その問に応える者は居なかった。

次回投稿は、14日の予定です。

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