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再会の神眼



帝都ギルド。

まどか達が帝都へ入る際、要らぬ騒ぎを起こさぬように、いきなり皇城へ転移するのははばかられた。英雄だ聖女だと言われても、一介の冒険者である。許可なく入れば犯罪なのだ。

故に正規のルートで入ろうとしたのだが、門番の兵士に止められ、ギルドマスターへ連絡が入り、本人確認がなされた。

ギルドカードを提示し、本物であったにも関わらずである。これは異常な事態であった。しばらく待たされた後、ギルマスが直々に出向いて確認し、ようやく解放されたのだ。さすがは神眼の二つ名を持つ男、兵士もすぐに信用した。現在まどか達は、ギルマスの執務室にいる。


「驚きましたね。いや、やはりと言うべきでしょうか」


「驚いたのはこっちだよ。ギルマス、帝都はどうなってんの?」


まどかは、帝都ならばスムーズに入れてくれるだろうと思っていた。それが今回はギルドカードが本物であるにも関わらず、手間取ったのだ。いや寧ろ、まどか達であるからこそ止められたと言うべきか。その事についてギルマスに尋ねたのだ。


「少し前に、貴女方が王国転覆を図って討伐さられた……という噂が流れましてね、王国ギルドに問い合わせたところ、事実確認が取れてしまった……まぁ、あちらのギルマスは、討伐では無く、投獄だと言いましたが」


「なるほど。それが現れたとなれば、偽物か、あるいは脱獄犯ってことか」


「そうですね。しかし帝都の中にも、一定数は噂を疑う者がおります。中には、偽の噂を流す目的を探ろうという者も」


「頼もしいな」


「貴女方が現れたことで、確信致しました。王国は、動き出したのですね」


「その通りだよ。しかも戦争では無い。討伐だ」


この世界、戦争にもルールがある。これは、戦士の誇りに繋がる、万国共通の思想と言い換えても良いだろう。

【不意討ちを禁ず】

である。戦争を仕掛けたいのであれば、その理由となる大義名分を掲げ、相手国や周辺諸国に周知する必要がある。

それを怠ると侵略行為とみなされ、周辺諸国の全てが、討伐連合軍となり、袋叩きにあうのだ。


つまり今回王国は、それを逆手に取った訳である。まどか達を帝国の侵略行為に仕立て上げ、討伐という名目で戦争を正当化しようとしたのだ。

『先に仕掛けたのは帝国であり、王国は討伐軍として動く』

というのが、周辺諸国に対する大義名分である。しかも討伐という名目である以上、相手国に知らせる義務も無いのだ。


「そうですか。貴女方はそれに利用された訳ですね」


「あぁ。しかも王国は、魔物の力を宿した兵士を研究しているようだ。動き出したということは……」


「その研究成果を投入した……ということですか」


「そう考えるべきだろう。普通の人間の兵士では、太刀打ち出来ないと思う」


「……なるほど。それはそうと、まどかはこの国の騎士団が変わったのはご存知ですか?」


「いや、今初めて聞いた」


「そうですか。ではまず、ご自分で確かめられてはいかがでしょうか。会いに行かれるのでしょう?男爵様に」


「あぁ。そうさせてもらうよ。ギルドは今回、どうするつもり?」


「戦争というものには、冒険者は関わらない。ご存知ですよね」


「そう……だったな」


「しかし……相手が魔物となると、話は別です」


「じゃあ!」


「魔物の討伐に関しては、こちらは専門ですので」


良い笑顔で答えるギルマス。まどかはガシッと握手を交わし、当初の目的、男爵邸へと足を運ぶのだった。

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