表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/86

冒険者ギルドの憂鬱 2



空き家に案内されたまどか一行。隅々まで見て回るのに、さほど時間はかからなかった。


「うーん……狭いっすね」


「まぁ、屋敷がそれなりに広かったからね。狭く感じるのも仕方ないよ」


「そうね。うん。でも、使い勝手は良さそうよ」


「キッチンも、少し手を入れれば使えそうでございます。地下の物置は、使えそうにありませんが」


「んじゃ、いつものやっとくか。部屋数も足りないし」


まどかはそう言うと、地下へ下り、物置の扉を開ける。人一人がやっと入れるくらいの物置の壁に手をついて


「創造」


と呟いた。淡い光を放ち、見る間に個室が出来上がった。


「三部屋でいいかな。私とメグミ、ジョーカーとハンス、チェリーとコバルト、それぞれ二人で一部屋ね」


「久しぶりに秘密基地だね、まどか」


「なんか、落ち着くっす」


「「わたくし達にまで!感謝の極みにございます」」


「あはは、相変わらずチェリーとコバルト、ハモるのね」


「ん?なるほど。そういうことでございますか」


ジョーカーの眼が赤く光っている。


「ジョーカーは気付いたようだね。わざわざ地下を作ったのは、狭いってこともあるけど、見張りを躱すためでもあるんだよ」


「「見張り?」」


「あぁ、入国審査の老兵と言い、ギルドマスターと言い、私達に監視くらいは付けるだろう」


「そんな!じゃあ今も誰かに見られてるの?」


「多分ね」


「俺、確認してくるっす!」


ハンスが表へ出ようとし、チェリーとコバルトは大鎌と鉄球を取り出し身構える。


「あぁ、今はまだいいよ。それより……」


「「「?」」」


「旅と言えば、ご当地グルメだよ!美味しいもの探しに、街へ出よう!」


「はぁ……ほんとまどかって、楽しいこと最優先だね」


「当然!」


「でしたら、わたくしどもはその間に、お部屋の掃除とキッチンの手直しなど、済ませたいと思います」


ジョーカーの言葉を聞いて、メイドの二人は武器をしまった。


「そっか、わかった。じゃあ私とメグミ、ハンスは、もう一度ギルドへ行って、美味しいお店でも、聞いてみるか」


「「「行ってらっしゃいませ」」」


こうして一行は、二手に分かれて行動することになった。




まどか達がギルドの扉を「バン!」と開けると、ちょうど目の前にマスターが立っていた。


「ひぃっ!な、まだ何か用か?」


思わず情けない声が漏れたが、必死に平静を装うムジナ。この男、なにかと漏れるタイプらしい。


「せっかくだからこの国の名物でも食べたいと思ってね。どこかおすすめの店でも教えてくれる?」


「ふぅ……ま、この国にも、美味い飯や名物はあるが、今おすすめできる店はねぇよ」


「いじわる言わないでよ。あるんだろ?美味い店?」


「……さっき宿の時も言ったが、どこに行っても連中が居る。ヤツらは冒険者を下に見てるからな。行けばいざこざが待ち構えているようなもんだ」


「さっきも気になったけど、その連中ってなんだ?」


「あんまり客人に言う話じゃねぇが、この街にはハンターっていう、魔物を生け捕りにする連中が居る。たまに勢い余って殺しちまった魔物を売りに来るが、買取りで揉めることも多い。

狩場は荒らされ、冒険者は商売あがったりだ。最近じゃ冒険者辞めて、ハンターになっちまった者もいる。こんなんじゃギルドも立ち行かなくなるってもんだ」


「ふーん、ハンターねぇ……まぁ、私達はよそ者だし、いきなりトラブルにはならないだろう。一番良い店、教えてよ」


「どうしてもってんなら教えるが、くれぐれもヤリ合わないでくれよ」


「あぁ。大人しくしてるよ」


こうしてまどか達は、美味いと評判の店へ向かうのだった。

次回投稿は、12日の予定です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ