表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
49/86

誤算



チェリーが同化を解き、死屍累々の地下室で唖然呆然のまどか達。


「あ……あぁ、うん。終わったの、かな?」


「え、うん。凄かった、ね」


「ガクブル……」


まどかの声に、我に返ったメグミとハンス。ジョーカーは額に手を当て、首を横に振っている。


「はしたない真似をしました。申し訳ございません」


チェリーの謝罪を まどかはヒラヒラと手を振り


「ま、しょうがないか」


と、不問にした。ぶっちゃけ見なかったことにしたいくらいである。


「丁度ここには、色んな道具が揃ってる。コバルトの再生をしよう」


屋敷内に人の気配が無い事を確認したまどかは、横たわるコバルトの身体から杭を抜き、パーツを組み合わせると、魔晶石をセットする。


「ん?なんだろう、これ」


コバルトの胸あたり、元はオルゴールが入っていた場所に、何かが埋め込んである。見ればそれは、宝珠オーブのようなものであった。


『アイテム情報。【魔導核】

ゴーレム製造において、術式を組み込み意のままに操る為の宝珠。マナを吸収、循環し、同質量の魔晶石の、約二倍の効果』


久々にアプリさんの声が聞こえる。まどかは魔導核を手に取り、更なる解析を行った。まぁ、やったのはアプリさんだけど……


『おそらく、名称コバルトの躯体をゴーレム化して、配下に加えようとして起動に失敗、術式がリセットされたと思われます』


(あぁ、なるほど。メイドゴーレムが欲しかったのか……ロマンを追い求めて失敗、ちょっと同情しなくもないが……)


『推奨。精神生命体である魔族を 魔導核に憑依、同化させる事によって、魔導人形アークドールの操作性向上と、外敵からの支配、精神汚染に対する防御力がアップします。』


『え?そうなの?なんか悪いねぇ、遠慮なんかしないけど』


「どうしたの?まどか」


「ん?いや、いい事思いついた。コバルト、出ておいで」


呼ばれた子蜘蛛コバルトが、チェリーの胸元から這い出る。


「コバルト、この宝珠に入れる?」


コバルトはカサカサと宝珠に這い寄ると、吸い込まれるように宝珠に入った。まるで琥珀に閉じ込められた虫のように、魔導核の中心に収まる子蜘蛛。まどかは宝珠を オルゴールがあった場所に収める。


「少しマナを流してやろう」


まどかは人形の胸に手を当て、ゆっくりとマナを流す。すると、


「あぁ、暖かい……」


思わず声をもらすコバルト。宝珠から糸を伸ばし、魔晶石や体内を繋いでいく。それは繭のように、血管を張り巡らせる心臓のように。

杭により穿たれた穴が、逆再生のように塞がり、切り離された下半身は糸により繋がり、人形は再び生命を宿す。


「どうだ?コバルト、動けるか?」


コバルトは、指先の感覚を確かめるように握ると、ゆっくりと身体を起こす。続いて足の感覚を確かめ、立ち上がった。


「問題ありません。マナがまだ回復しておりませんが、それも時期に戻ると思われます」


「とりあえず動けるならよし。ここを脱出しよう」


まどか達は来た道を戻り、宿へ向かう。周囲の索敵をハンスに任せ、まどかはジョーカーと念話を繋いだ。


『どう思うジョーカー、屋敷にはゴーレム兵が居なかった。研究室も個人の趣味の部屋のようだったし、量産する施設にしては狭すぎる』


『左様でございますね。コバルトの様子を見ましても、技術的に確立していないように思われます。何らかの事情で頓挫したのか、或いは……』


『あぁ。逃亡したという、人型ゴーレムが関係しているかもしれない』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ