地図と古地図と脳内マップ
「そして、その当時の貴族の屋敷の内、革命軍に参加した家は……」
そう言ってまどかは、古地図に印を付けていく。
「これって……ギルドでもらった図の印の配置と同じっす!」
「それだけじゃないぞ。更に、新しい方の地図に、今回ジョーカー達に潜入してもらった、各部門の責任者の屋敷というのが……」
まどかは続けて、ギルドでもらった地図に印を付けていく。地図と古地図を重ねるまどか。
「どうだ?」
「ピッタリっす」
「お嬢様、ではこの縦横に引かれた線は……」
「おそらく、地下通路だろう」
「ちょっと待って。まどか、仮に地下通路だったとしても、お城が更地になるほどの極大魔術を使ったんでしょ?無事とは思えないけど」
「そうだな。でもメグミ、違和感を感じない?」
「えー?また違和感?うーん……」
「王城が、更地になったんだよ。おかげで、ありえないスピードで新しい街並みに変わった……ジョーカーは、もう気付いたんじゃない?」
「おそらくは……その極大魔術というものが、爆裂系統の術式では無く、時空系統の術式によるもの……つまり、地表部分の一定範囲を消し去ったのでは無いでしょうか……ん?……いや、それならば……まさか全てが計算の内?しかし……」
(そう。クーデターの大義名分には、裏テーマがあった……と考えると辻褄が合う。それがアーネスト本人の計画なのか、別の存在による意思なのかはわからないけどね)
「あのー、すいません。全然わからないっす」
「わたしも、もうちょっと、説明欲しいかな」
「ごめんハンス、メグミ、今はまだ話す時じゃないんだ。ただ、私の考えが正しいとしたら、ハンターが言ってたゴーレムの話が、少し見えてくるんだよ」
「どういう事?まどか」
「一本角を観察して思ったんだけど、この国の研究機関が開発してるのって、人間の兵器化だと思う。そんな所から逃げ出した、人と見分けがつかないゴーレムが、騒ぎも起こさず、行方も掴めない」
「確かに、変っすね」
「逃走経路と潜伏を考えると、この地下通路が今も残っていて、それを使わせたというのが、一番可能性が高いんだよ」
「使わせたって……ちょっと待ってまどか、誰かが地下通路を使って、ゴーレムを逃がしたって言うの?」
「そうだね。少なくとも、匿ってる人間が居ると思うよ」
「何なんすかね、そいつの目的」
「まぁ、今んとこ考え無くていいかな。本題は、その地下通路を使って、コバルト奪還作戦をやろうって事だ!」
「!!!!」
「その為にまず、現在の地図に地下通路を当てはめて……っと、みんなには、この配置を覚えて欲しい。潜入、奪還、脱出、極力騒ぎを起こさずに済ませたい。私はもう覚えてるから、この地図は誰か持ってていいよ」
「え!もうっすか?」
まどかには、補助演算機能、【アプリさん】がある。転生時、肉体の再構築が成される際に、辰巳とトラックとスマホが融合して出来たのがまどかである。
おかげで各種スキルや魔術の検索、解析、記憶や言語理解など、あらゆる情報管理が出来るのだ。ちなみに、時折アップデートもする。地図を記憶するなど、秒で出来るのである。ズルいぞ!反則すぎる!
「今、マリアの子蜘蛛を使って、侵入出来そうなポイントを探っている。明日はそこから突入だ!」
声優さんの結婚ラッシュ、おめでとうございます!
どうかお幸せに。




