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地図と古地図

ものすごく間があいてしまいました。


申し訳ございません。


細々と続けたいと思いながら、なかなか更新出来ずに、気がつけば……



迎えた朝。ふいにメグミが尋ねる。


「……ねぇまどか、なんでまどかはそんなに冷静でいられるの?」


メグミは思う。もしまどかが怒りに任せてコバルト奪還に動いていたら、取り戻す事は出来るだろう。しかし国の大半は無事では済まない。運良く滅亡をまぬがれたとしても、間違いなく戦争の火種となろう。

だが一番感情を揺さぶられたのもまた、まどかである。家族を失ったことで、まともでいられるはずは無いのだ。その感情をコントロール出来るすべなど、メグミは持ち合わせていなかった。


「みんなが私の分まで怒ってくれたから、私は冷静になれたんだよ。メグミ、ありがとう。」


そのまどかは今、心から家族というものを実感していた。家族と共に喜び、悲しみ、怒り、守る。非日常が日常の世界で、辰巳だった頃に失った温もりを取り戻した。噛み締めるようにしばらく目を閉じ、一つの決意と共にその目が開かれる。


「よし!MJ2行くよ!」


向かう先は、コバルトの身体がある屋敷……では無く、居住区にある古びた民家だ。

何故そんな場所に向かうのか……それは昨日の夜の会議が長引いた理由でもあった。




話は昨夜に遡る。ハンスの報告を聞き、大まかなこの国の裏の顔を掴めた一同。議題はコバルト奪還作戦へと移った。


「これを見て」


まどかが取り出したのは、ネム爺の伝手で手に入れた古地図。王都ギルドでもらった地図と見比べている。


「へぇ、昔は街の中心にお城があったんすね」


「あぁ。だが重要なのはそこじゃない。この古地図と、ギルドでもらったもう一枚の図をよーく見比べてくれ」


その古地図に描かれているのは、今とは違う街並み。中央の王城の四方に門があり、そこから延びる道を基準に、縦横マス目状の道がある。現在の放射線状の道と違い、きっちり区画整理された街並みだったのだ。


「なるほどっす!この道にこっちの線を重ねるんすね」


そう言ってハンスは、ギルドでもらった図を重ねる。時折角度を変え、クルクルと回しながら合わせている。


「あれ?どの向きも、なんか合いそうで合わないっすよ?」


「ハンス、私も最初はそう思ったよ。だが違ったんだ。その古地図に合わせるのは、図の線じゃなくて印の方だ。その前に……」


まどかは言葉を区切り、ネム爺に聞いた、この国の成り立ちを話す。


「ルシウス王国、先代の王、アーネスト・ルシウス三世は、王家の血筋では無い。彼の元の名は、アーネスト・ファウスト。この国を改革すべく立ち上がった、革命軍の長だった」


「えっ、どういう事っすか?」


まどかは掻い摘んで説明する。曰く、先々代の王の悪政に耐えかねた改革派の貴族により、革命軍が結成された。その旗頭がアーネストである。

主要な役職に着いている貴族に働きかけ、軍に引き入れ勢力を拡大、機を見てクーデターを起こす。

だが国王軍に制圧され、クーデターは失敗に終わるかに見えた。

そこで一発逆転を狙ったアーネスト達は、当時奴隷であった獣人を使い、魔獣達を従わせ王城に放った。

結果、王は魔獣に引き裂かれ、その命を落とす。だが放った魔獣達も暴走し、このままでは王都まで壊滅の危機となった。

苦肉の策として、王城周辺に大規模な結界を張り、魔導師十二人による極大魔術にて、魔獣を王城ごと殲滅したのだ。

その後、王都の外れに新たな王城を建設、結界の内側で更地となった旧王城とその周辺は、新たな街へと姿を変えることとなった。

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