表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/86

蠢く者達 2

一日飛ばしてしまいました……



席を立とうとした二人に、アシムが声をかける。


「アイツは使えそうか?」


「ダメね。我儘だし」

「商品に手を出すようなヤツは、信用出来ないわ」


「そうか。まぁ、捨て駒には丁度いい。せいぜい踊らせておけ。あれでも元男爵らしいからな」


「帝国に入り込むのに使えそうかと思ったんだけどね」

「アイツと同じで、使えそうなコネもなかったわ。よっぽど嫌われてるのね」


「首でも持っていった方が、使い道はあったかもな。それも最早、必要ないがな。ふははははは……下手な動きをせんように、見張りだけはしておけ」


「ゼロが付いているわ」

「こちらの命令には、従う男よ」


「あぁ。暴走の危険はあるが、アレは使える」


「暴走させたの、貴方でしょ」

「わざわざ研究施設一つパァにしちゃって」


「性能テストとしては、良いデータが取れたよ」


「ついでに秘密を知った魔導師の口封じ」

「おぉ怖い怖い。さっさと退散しましょ」


二人の漢女は、自分の肩を抱くように身震いの真似をして、バチコンッ!と音がしそうなウインクを残し部屋を出た。




「お帰りでございますか?」


「そうよーん」

「見送りはいらないわん」


静かにその場で礼をするジョーカー。そこにチェリーの念話が届く。


『ジョーカー様、緊急事態でございます!コバルトの反応が消えました』


『ふむ。念話も届きませんね……わかりました。わたくしはまだ、ここを離れる訳にはまいりません。貴女はこの事をお嬢様にお伝えし、指示を仰ぐのです。くれぐれも単独行動はしないように』


『かしこまりました』


(コバルトに限って、簡単に死ぬようなことは無いでしょうが……お嬢様とのお約束、違えたとなれば、わたくしの責任ですね)


ジョーカーは、部屋に忍ばせていた子蜘蛛を袖口にしまうと、あらゆる可能性を思案するのだった。




「さて、古地図も手に入ったし、面白い話も聞けた。一度宿屋に帰るか」


「そうね、まどか。わたしもネム爺さんと模擬戦まで出来たし、色々得るものも多かったわ」


ファーの町からの帰り、街道を行くまどかとメグミ。転移も使えるまどかが、あえて使わない理由……それは、一定の距離を保ち、背後から追ってくる気配を察知したからであった。

ギルドの見張り役は、随分前に付かなくなっている。実力差を見せ、信頼も得たことで、不要と判断されたからだ。そんな今考えられる追手となれば、ハンターの雇い主か、国の関係者、で無ければ、変質者の類いだろう。


(人通りも多いし、下手に騒ぎは起こしたくないなぁ。向こうもそう考えてくれてるといいけど)


『お嬢様、緊急事態にございます』


チェリーの念話が届いたのは、その時だった。まどかは妙な胸騒ぎを覚える。


『チェリー、合流出来るか?』


『直ちに』


岩陰に転移で飛び、まどか達に合流するチェリー。三人は歩きながら、念話での情報交換をする。


『……なるほど、事情はわかった。チェリーが現れた途端に、追手の気配に明らかに動揺があった。もしかすると、コバルトの件にも関わっているかもしれない』


『捕えますか?』


『慎重にな』


『かしこまりました』


再び姿を消すチェリー。はるか後方で男のうめき声がする。襟首を掴まれ、引き摺られる男。見た目は旅の商人風ではあるが、服がはだけて帷子の着込みが覗いている。

男は咄嗟に、奥歯に仕込んだ毒を噛むが、まどかの解毒の魔術で無効化された。


「そんなに死に急ぐなよ。ちょっとだけ、お話しようか。ね?命は大事だから」

次回投稿は、25日の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ