大人ぶりたいお年頃
大変遅くなりました
更新したつもりになってました(汗)
メグミの職業は弓術士。ギルドカード上は、そうなっている。
メグミの能力を知って、懐柔や利用しようとする貴族や国、輩から身を守る為に、あえて中級職で登録したのだ。
メグミの持つ能力……それは、まどかに匹敵する、あるいは上回る最上級スキル、精霊使いである。
しかも、通常精霊使いが召喚出来る精霊は、契約した一体だけなのだが、バハムートにより精霊王の紋章を授かり、全ての精霊を 自分の身体を依代にして呼び出す事が出来る。
上級の精霊になればなるほど、精神の力を消費してしまう為、一日一体が限度だが、メグミが最初に出会って、命を救った一体だけは、精神の消耗無く、身体を依代に使わず召喚する事が出来るのだ。その代わり時間制限はあるのだが……
「じゃあ、呼ぶよ。まどか」
「あぁ。私も久しぶりでワクワクするよ」
メグミは紋章のペンダントを両手で包み、祈りを捧げる。
「……顕現せよ、シルフ……うーん、違うなぁ……おいで、ティンク!」
メグミの周りに浮かぶ、綿毛のようないくつもの小さな光。それが一つに収束すると、懐かしい声が聞こえ……
「ちょっとちょっと!なんで召喚の詠唱が大雑把なのよ!あたしも妖気がすっかり抜けて、ちゃんとした上級精霊に戻ったワケ。風の精霊シルフ様を呼び出すのに、それはないんじゃない?ねぇ!聞いてるメグミ!」
もとい、小うるさい声が響いて来た。
「そうか。シルフ様は崇められたいのか……もう昔の、私達の永遠の仲間のティンクは、いないのか……寂しいなメグミ」
「そうね。わたしも仲間だと思ってたから、親愛を込めてティンクって呼んだのに、これからはシルフ様って呼ばなきゃなのね……寂しいわね」
「ちょ、な、ば、バカ言わないでよー!ずっと一緒、ずっと友達って、結構感動的に誓ったじゃないのさ!」
「エー、ダッテシルフサマガオッシャッタカラ」
「オッシャッタカラー」
「い、いいわよ!特別なんだからねっ」
「「ソンナ、オソレオオイ」」
「わ、わかったから、お願いだからその、無機質な棒読み感やめて。ティンクでいいから、いや、ティンクでお願いします!」
「おかえり、ティンク!」
「あ、うん。ただいま」
ティンクはパトランプ並に赤く点滅している。精霊として「舐められたら負け」と、訳の分からない虚勢を張って見たものの、以前と変わらず温かく迎えてくれた二人に照れているのだ。
「早速だけどティンク、頼みたいことがある」
「ねぇまどか、あたしを頼りたい気持ちは分かるけど、もうちょっと余韻に浸るとか無いの?」
「浸りたい気持ちはあるんだけど、ティンクは時間制限あるでしょ?ティンクにしか出来ない仕事だから、急いで頼まなきゃって思って」
「し、しょうがないわね。相変わらず、あたしが居ないと何にも出来ないんだから……」
無い胸を精一杯張るティンク。態度もチョロさも相変わらずである。
「ティンク、この国、なんだか気持ち悪くない?」
「ふむ……言われて見れば」
「原因わかる?」
「そうねぇ。地脈の流れと、街の景色が合わないのよ」
「地脈?」
「そう。風の流れと同じで、地脈の流れも無理矢理妨げたり、ねじ曲げると歪みが生まれるのよ。それが大きくなると、自然災害に繋がるの。タイタンだったら、その辺もっと詳しくわかると思うけど、はっきり言って、この国はズレてんのよ」
「こういうことって、よくあることなの?」
「そうねぇ、大きな戦争とか、国が崩壊するような事があると、その土地に上塗りするように新しい国を創る事があるじゃない?そうすると、この国みたいな歪みが出る事が多いわね」
次回投稿は、20日の予定です。
忘れないように努力します……




