作戦会議
「はぁ……まさかチェリーとコバルトを連れて行ったのは、ミルクレープを再現するためだったとは」
「え?だって、メグミもまた食べたいでしょ?」
「そりゃまぁ、美味しかったけど……」
「らっくは毎日食べたいにぃ!」
「お任せ下さい。全てのデータは解析済です」
「原材料、配合比率、製造方法、完璧です」
「まぁ、後は実際作ってみて味見だな。ハンスも食べたいだろうし」
まどか達が宿泊先へ戻り、今日一日の感想などを話していると、ハンスとジョーカーが合流した。
「な、なんすか?なんか食べさせてくれるっすか?」
「お嬢様、ただいま戻りました」
「んじゃ、チェリーとコバルトがミルクレープを再現しているうちに、報告を聞こうかな」
それから二人は、まどかに今日一日の行動を報告した。奉公人協会のこと、出来れば手分けして探りたいこと、プラドが監禁していた人達のこと、配下がかなりの強者であること、プラドを見失ったエリアのこと……
「そっか……なぁらっく、明日ハンスと一緒に、お使い行ってくれる?」
「たっちゃんは?」
「一緒じゃないけど」
「やだにぃ!」
「即答っすか!」
「まぁまぁ……らっくは私のお願い、聞いてくれないの?上手に出来たら、特大ミルクレープ食べさせてあげようと思ったのに……残念だなぁ」
「にゅ!」
「そっかそっか……お魚討伐の時は、強くて頼りになる仲間だって思ったけど、やっぱりらっくは、タダのワガママな甘えん坊さんかぁ……」
「そんなことないにぃ!らっくは冒険者になったにぃ!タダの仔猫じゃないにぃ!」
「ほんとかなぁ……」
「ハンス行くにぃ!今すぐ片付けて、特大にぃ!」
「らっく慌てない。じゃあ、行ってくれる?」
「たっちゃんのお願い、聞いてあげるにぃ!」
ハンスは思う。まどか様が俺のためにらっくを説得してくれた……もしかして俺の事を仲間以上の存在に思って……と。
この男、どうやら勘違いで自滅するタイプらしい。
そしてメグミは思う。以前はクールな美少女で、凛として頼り甲斐があって、危うく百合の扉を開けそうになったまどかが、ここに来て小悪魔要素が加わって、それはそれでアリかも……ってもうわたし、どうしたらいいのーっ!!と。
この女、どうやら拗らせているらしい。
「んじゃ、明日のそれぞれの行動を言うよ。ジョーカーは引き続き奉公人協会の方へ。時間をずらしてチェリー、コバルトも登録。手分けして潜入」
「「「かしこまりました」」」
「ハンスはらっくを連れて、例の雑貨屋からもう一度調べて」
「承知」
「まかせるにぃ!」
「メグミは私に付き合って。地図の秘密を解明するよ」
「わかったわ。でもまどか、どこから調べるの?取っ掛りが無いんだけど」
「それを探す為に、今日一日街を回ったんだよ。そして一つ見つけた」
「え?そ、そうなの?」
「まぁ、違和感みたいなもんだけど。その正体がわかれば、地図の秘密もわかると思う」
「ほんと、まどかって分からないわ……」
「そして、それを探すのに、もう一人の仲間にも、手伝って貰わなきゃならない」
「え?それって、もしかして」
「あぁ。あの賑やかな小うるさい仲間、呼んでくれるよね?」
「うん!」
メグミは、久しぶりの仲間との再会を思い浮かべ、笑顔で頷く。メグミにとっての、この世界で最初の友達を心待ちに、お揃いの腕輪に手を触れ、そっと目を閉じるのだった。
次回投稿は、19日の予定です




