表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/86

そうだ、王都へ行こう

遅れてしまいました。



ファーの町を出て、まどか達は大都市へと馬車で向かっていた。


「こういう旅も、いいもんだ」


「ねぇまどか、ホントに情報集めに行くんだよね?」


「ん?そだよ。あ、あそこのカフェ、雰囲気いいね」


「ほんとだ!ミルクレープだって……じゃなくて」


「見て見て、わんにゃんサーカスだって!らっく、後で行くか?」


「行きたいにぃ!」


「わぁ!なんか楽しそう……ってまどか!絶対観光だよね?よね?」


今回の観光……ではなく情報収集は、女性陣だけでやって来た。まどか、メグミ、らっく、チェリー、コバルトの五人である。


「心配性だなぁメグミは。脅威になる魔物は粗方倒したし、プラドはハンスが見張ってる。ジョーカーにも別で動いてもらってるから、私達はこっちだよ」


「でも、まどかさっきから……」


「メグミ、メリハリって大事だよ。移動中くらいは楽しまないと。馬車を降りたら仕事モードになるから」


「ホントかなぁ……」


停車場に着き、一行は周囲を見回す。石畳の綺麗に整備された道が、前王を讃える石像がある中央広場から放射線状に広がり、一番幅のある道の先が王城であるらしい。

道の両側には、北欧風の二階建ての建物が隙間なく並び、傾斜のキツめな屋根には、明かり取りの窓がある。


「綺麗な街ね、まどか」


「うん。スンスン……串焼きの匂いだ!行くぞらっく!」


メグミの振り返った場所には、既にまどかはいなかった。人混みをすり抜け、串焼き肉の屋台に並んでいる。


「もう!仕事モードはどうしたのよーっ!」


メグミがやっとの思いでまどかのいる屋台にたどり着くと、既に紙で包んだ串焼きを二袋抱えている。


「メグミならわかると思うけど、私はコンビニのレジ前でホットスナック揚げたてですよーとか言われたら、買っちゃうたちなんだよ」


「う、ちょっとわかるけど……」


「コレ食べたらギルドに顔出して、地図もらって、それから王都内で活動する為の拠点探しかな。後は王城に出入りしている商人の洗い出し。それらが出来る人脈豊富な人でも居れば最高なんだけど」


「なんだ、ちゃんと考えてるのね。安心した」


「当然!だからこそ、わんにゃんサーカス見に行くんだよ」


「そこが上手く繋がらないんだけど……まぁいいや。まどかがそう言うなら」


いまいち腑に落ちないメグミだったが、まどかの勢いと、らっくの懇願の上目遣いに堕ちたらしい。




人混みの中、こういう雑談中も、周囲の警戒を怠らないチェリーとコバルト。今も二人のチャラそうな男が、まどか達に声をかける直前に姿を消した。


「ねぇ、彼女たち、どっから来たの?」

「お茶でもどうかな?いい店知ってんだけど」


二人の男の目の前には、前王の石像。コバルトが転移で飛ばしたらしい。周囲の人々に危害を加えないように、まどかに注意されたため、こういう排除手段にしたようだ。


「ねぇ、何あれ、石像口説いてる」

「モテないからって、無いわー」

「ママー、お兄ちゃん達、石とお話してるよー?」

「しーっ!ダメよ。可哀想な人なんだから。見ちゃいけません。あ、こら、指ささないの」

「クスクス……」


他にも、ガチムチな漢女に声をかけ、連れ去られる若い男や、巡回の兵士をお茶に誘い説教される者など、街のあちこちでカオスな雰囲気になっているが、自業自得というものである。


「まどかお嬢様、今の所、殺意を持って近付く者はいません」

「お嬢様に快楽や性的欲求を主目的に近付く者が殆どでございます」


「ふむ。今度からそういう報告は、声に出さずに頼むよ。メグミがあわわしてるから」


「「かしこまりました」」

次回投稿は、14日の予定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ