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王国へ 1



優雅に船旅を楽しむ一行。

十代半ばと思しき見目麗しい女性が二人、良家の娘なのか、メイドが二人と執事が傍にいる。

小姓の男は片方が義手のようだが、余程性能が良いらしく、指先まで自然な動きで、今も器用に靴紐を結んでいる。


「まどかお嬢様、メグミお嬢様、お茶の御用意を致しました。軽食も御座いますが、いかがなさいますか?」


「ありがとう、ジョーカー。スコーンを貰おうかな」

「ジョーカーさん、私はエッグタルトで」


「かしこまりました。チェリー、コバルト、お出ししてください」


「「かしこまりました」」


「ジョーカーさん、俺、サンドイッチ貰っていいっすか?」


「ハンス様、どうぞ」


「あざーっす!」


「みんな座って。お茶しながらルシウス王国での行動を打ち合わせしよう」


この一行、船旅を楽しむ良家の娘では無い。

帝国では今や知らぬ者は居ない【MJ2】という冒険者パーティである。

パーティのリーダー、まどかは魔闘士。魔力を纏うその拳で、剣をも弾く。メグミは弓やナイフも使う精霊使い、ジョーカーは執事だが剣の達人、メイドのチェリーとコバルトも凶悪な武器を使い、ハンスは斥候ながら、持ち前のスピードで相手を翻弄する。此度は帝国を離れ、隣国のルシウス王国へ調査に向かっていた。



ルシウス王国

帝国の北西に隣接する豊かな国。亜人に対する偏見の多いこの世界において、唯一人種と対等の扱いをする国であり、それぞれの種族特性を活かし、発展を遂げた。

労働力としての彼等は優秀で、戦力としても貴重である。元は王族、貴族の奴隷として扱われていた亜人種だが、先代の王、アーネスト・ルシウス三世により、亜人種解放政策が成された。

これにより、他国よりの亜人種はルシウス王国へ集い、飛躍的に人口が増えた。国に対する不満を取り払い、愛国心を育み、その特性を活かし、国の為に尽す亜人種。それにより発展する国。人種からの信頼。そこに良い連鎖が生まれ、更に成長する国………それがルシウス王国である。


表向きは。


つまりはその裏側、真実の顔を探るのが、今回の旅の目的である。


「……とは言うものの、取っ掛りがなぁ」


「そもそも、依頼でも無いのに、勝手に嗅ぎ回って、面倒な事になんないっすか?」


「あ、言って無かったか?一応、エンフィの依頼って事になってる。」


「「「はぁ??」」」


エンフィとは、まどか達が首を突っ込んだ事件で、帝都の噴水広場で出会い、仲間になった少年。その正体は現皇帝の弟で、事件後、爵位を取って帝国を支えている。


「伯爵様を呼び捨てに出来るの、まどかくらいだよ……」


「え?だってエンフィは仲間だろ?」


「まぁ、そうっすね。皇帝である兄を支える為に、エンフィも仕方なく伯爵様になった様だし、急に態度を変えるのも、なんか違うっす」


「だろ?多分エンフィも、仲間として接した方が、嬉しいと思う」


「……うん。そうよね!んじゃ、私もそうする!」


「お嬢様、それで……入国はいかがなさいますか?」


ジョーカーは、このパーティで王国兵と一戦交え、帝国との国境から追い払った件を危惧しているのだ。


「まぁ、あの時は暗かったし、私達の顔なんか覚えてないだろう。大丈夫じゃないか?もし止めらたら……そん時考えるよ。臨機応変!」


「まどか……それ、行き当たりばったりって言うんだよ……」


「まどか様ー、ホント、読みが鋭い時とフワッとしてる時と、ギャップが激しいっすね……」


「それ、褒めてんの?呆れてんの?」


「私は……呆れてる」


「お、俺は……そんなギャップも、す、好きっす!」


「……まぁいいや。一先ず拠点探しとギルドで情報収集かな。取っ掛りを探そう」

次回投稿は、10日の予定です。

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