ギルドの目覚め 1
翌日。
ギルマスに選抜された冒険者が、まどか達と行動を共にする事となった。
「三班に別れるか」
まどか、らっくと、地元冒険者三人
メグミ、ジョーカーと、地元冒険者二人
ハンス、チェリー、コバルトと、地元冒険者三人
という布陣である。
地元冒険者は、討伐依頼魔物の出没地への案内と、他班やギルドとの連絡、冒険者自身のスキルアップが目的だ。
とは言え、まどか達は念話通信が使えるし、まどか、ジョーカー、チェリー、コバルトに至っては、転移術もある。地元冒険者は、道案内とスキルアップに専念して貰う事になるだろう。
いざハンターと決戦……となった場合を考え、冒険者達の底上げをはかろうという、ギルマスの思惑も見て取れた。
「ハンスを調査に……とも思ったけど、まぁギルドが頑張るって言ってるし」
「はぁ……まどか様と別行動っすか……」
「ハンス、お前はその班のリーダーだ。しっかりな」
「り、リーダー!承知」
「んじゃ、まどか、行ってくるね」
「あぁ、メグミも気を付けてね。みんな死ぬなよ。MJ2、行くよ」
「「「了解」」」
各班は、それぞれの目的地へと向かった。
ハンス班が担当するのは、ファイヤーバード。揺らめく炎の翼を持ち、上空からその燃える羽根を打ち出し、火球を吐いて攻撃して来る。爪や嘴は鋭く、急降下からの攻撃も脅威である。
「しかし、なぜファイヤーバードの受け持ちがハンスさんなんです?弓使いのメグミさんの方が、適任だと思うんですが」
地元組の一人が尋ねる。
「そうっすね。空飛んでる相手だから、みんなそう考えるっす」
「飛び道具だけが、鳥を撃ち落とす手段では無い……という事でございます」
「まどかお嬢様の考えられた布陣、間違いなどごさいませんわ」
「は、はぁ」
「まぁ、見てるっす。来たっすよ」
両翼二メートルを超えるファイヤーバードが三体、燃え盛る翼から炎を靡かせ、空気を焦がしながら飛来する。
「ファイヤーバードの炎翼は、水をかけても三秒くらいで復活します」
「なるほど。貴重な情報、ありがとうっす。チェリー、コバルト、聞いたっすね」
「「三秒あれば十分です」」
チェリーとコバルトは、魔術を散発してファイヤーバードを牽制する。二人を敵と認証したファイヤーバードは、翼をたたみ高速で降りて来る!嘴を開き、二人へ向け火球を放つ!
「コバルト、右。チェリーは左を」
「「かしこまりました」」
二人の手から黒いオーラが迸り、瞬時に武器へと変わる。コバルトはスコーピオンテイルズの鉄球を振り、かち上げるように火球を弾く!
チェリーはデスサイズを大きく構え、唸りを上げる一振り!刃風は飛ぶ斬撃となり、火球を真っ二つ!空中で爆散させた。
「負けてらんないっすね」
ハンスは義手をカシャリと変形させると、手のひらの中央から筒状の魔道具が顔を出した。
「魔導砲、水」
二の腕に並ぶ梵字の一つに手を触れると、青色に淡く光る。火球に向けられた筒は、その光を収縮し、渦巻く激流となって放たれた!
「「今です」」
ハンスの放った激流は、火球を呑み込み、そのままファイヤーバード三体を巻き込む!デスサイズを下段に構えるチェリー。その刃にコバルトが飛び乗る!
「逝きなさい!」
チェリーがデスサイズを振り抜く!反動でファイヤーバードの真上に打ち上げられたコバルトは、スコーピオンテイルズの鉄球で、三体を地上に叩き落とす!
「とどめっす」
その場から消えたように錯覚する程のハンスの加速。ファイヤーバードに向かって駆けながら、義手の手首をカシャリと捻ると、手の甲と肘から、それぞれ槍の穂先が飛び出す!
「ペネトレイトスラッシュ!」
駆け抜けたハンスの後ろには、首を切り飛ばされたファイヤーバードが三体、どさりと倒れた。
次回投稿は、26日の予定です。




