打ち明け話 1
次回予告が一日ズレてました……
なんで気付かなかったんだろ
拠点の家に着いた五人。
主の帰宅の気配を感じ取り、当然のように扉を開け、出迎える執事とメイド。
「「「お帰りなさいませ」」」
その様に、一歩後退るラキュオス。町外れのあばら家に執事とメイド……当然の反応だろう。
「まどかお嬢様、お客様ですかな?」
「あぁ。中で説明するよ。それと……みんなにも、聞いて欲しい話も、ある」
「まどか様ー、腹減って死にそうっすよー」
「おや、お食事に行かれたのでは無かったのですか?」
「まぁ、いろいろあってね」
みんなは、ジョーカーの用意した食事をとり、ひと息ついた。テーブルに料理が並ぶと、スンスンと鼻を鳴らし、ぱちりと目を覚ましたらっくは、食事中もまどかの膝の上から降りなかった。
ラキュオスが諌めたり、ハンスが剥がそうとして、顔に四本の赤い線を付けられたり、いろいろ試した結果、みんな諦めたからである。
「この方はラキュオス。私と同じ辺境のギルドで冒険者になった、言わば先輩だ。」
まどかが赤いグローブに刺繍された、二枚の羽根の紋章を見せると、ラキュオスも鎧の肩にある同じ紋章を見せた。
「そして……」
僅かに言い淀むまどか。意を決したのか、周囲に風魔術で音を遮断する結界を張ると、
「なぁ、らっく、お前ひょっとして……」
「にぃ?」
「公園で弱ってたのを拾われた、子猫のらっくか?その……たっちゃんってヤツに拾われた……」
「ん!そうだにぃ!たっちゃん知ってるにぃ?」
「ん、まぁ、知ってると言うか……そうか……らっく、お前、生まれ変わって、今の姿になったんだろ?」
「んー、いっぱいお祈りしたらなったにぃ」
「あ、うん。それと同じように、た、たっちゃんが生まれ変わったのが、わ、私なんだよ」
「にぃ?うーん……わからないにぃ」
「そ、そうか……」
らっくはしばらく、まどかの膝の上でゴロゴロしながら、時折スンスンと匂いを嗅ぐ。ふにゃりと表情が緩み、体重を預けると、
「わからないけど、たっちゃんだにぃ!」
まどかがらっくの頭をぽふぽふすると、
「あったかい手、お日様みたいな匂い、安心するお膝の上……たっちゃんだにぃ」
「らっく、よく来たな」
そこで、ようやくフリーズが解けた皆が、一斉に喋り出す。
「ど、え?コウエンってなんすか?」
「え、ハンスさん、引っ掛かるのそこ?ってまどか!言っちゃったの?」
「ふむ。どうやらメグミお嬢様は、ご存知だったのですね」
「お、おい、その話、私に聞かせて良かったのか?にわかには信じられぬが、それが本当なら、奇跡と言う言葉でさえ表しきれんぞ!」
「「やはり。だからまどかお嬢様は、人の域を超えているのですね」」
「ま、まぁ落ち着いて。らっくも居るし、隠していてもしょうがない。もう一つ、私は元々、男だった」
「そんなことはどうでもいいっす!」
「ま、まどか、私も言っちゃった方がいいかな?」
「ほう。それが、まどかお嬢様の力の一端なのでございますね」
「そうか。見た目は若いが、私以上の経験があると言うわけか。どうリで強い訳だ」
「「流石はまどかお嬢様」」
「へ?」
(いやいや、俺結構勇気振り絞って、衝撃の事実的に言ったのに、あっさりスルー?なんのために今まで悩んでたんだか……)
「ムニムニ……たっちゃん……」
大騒ぎの中、らっくだけは幸せそうに、まどかの膝の上で丸くなるのだった。
次回投稿は、20日の予定です。




