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第6話

"アカネコ"の呪文に反応し、サシの関節が曲がる。それは、一つの方向を指差した。”アカネコ”は廃墟を出て、サシの指し示す方角に向かって歩き出した。残された”アオカラス”は、警部に事情を聞く。対話によって知識を得ること。これも魔法使いの力を蓄える方法だ。


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廃墟を後にした”アカネコ”は、サシの指し示す方角を見る。廃墟の裏は手入れされていない雑木林だが、よく見ると、人が何度も通ったような跡が見える。もはや、道と言っても差し支えない。


”アカネコ”は多少警戒したが、それでも遠慮なく道を行く。当たり前だが、進めば進むほど、木々は生い茂り、林は森となり、坂は崖となり、道は険しくなっていく。

「なんでいっつも私がこんな目に……」


ブツクサと文句を言いながらも、”アカネコ”は歩き続ける。

”アカネコ”には、こういった険しい道を楽に移動するための手段が、あるにはある。だが、こんなところで無駄に魔法を使う訳にはいかない。


魔法を使うためには、それなりの道具がいる。道具は、使い続ければ、いずれ魔力が尽きて砕け散る。そうなれば、新しい道具を買い揃えなければならない。つまり、カネがいる。


”アカネコ”は、カネがなかった。いや、無いどころではない。とある事情により、大きな借金を抱えている。もっともそれは、彼女のだらけた生活が原因というわけではないのだが。


……どれくらい歩いただろうか。いや、まだ時間にして30分ほどしか経過していないはずなのだが、”アカネコ”の疲労感は、すでに数時間の徒歩に匹敵するものがあった。

「おのれ田舎道め……ん?」


悪態をつく”アカネコ”であったが、サシに変化があることに気がついた。道を外れた方向を指さしたのだ。その方向を見ると、小さな山小屋があり、煙突からは煙が出ている。おそらく、間に合ったのだ。

「”サー・フィン・リー・ディー”」

”アカネコ”は、サシの呪文を解除すると、ゆっくり床屋に近づき、耳を澄ます。


「ハハハ、もうすぐだ……これで俺もようやく……」

中から、不気味な男の声が聞こえてきた。

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