午前4時少し過ぎた頃
何となく目が覚めてしまったようだ。窓から見える景色はなんだか少し明るかった。
気だるい身体を起こすと、窓を見つめていた。外には誰も居ない、文字通り誰も居ないんだ。なんだか、僕以外の全ての人が消えてしまったように錯覚してしまう。このなんだろう、虚無感がなんとも心地いい。
まるで、ぽっかりとそこにあるはずのものが無くなってしまっている虚無感。何だろう、もしかしたら僕の方が失われているのかも知れない。僕だけが別の世界に居るのかもしれないんだ。この午前四時少し過ぎたこの世界には、僕以外が存在していないようだ。なんて美しいんだろう
何かが消えてしまった後に残る虚無感。どうしてこんなに美しいんだろう、きっとその虚無感は、確かにそこにあったことを証明しているからかも知れない。だとすれば、ここで僕が死んだとして、誰かの心に穴を空けられるんだろうか。
あぁ、まるでここは死後の世界だ。ここには虚無感があふれている。もしかしたら、僕自身が虚無だからこそ、認識されなくて、認識できなくて、虚無に包まれているのかも
華やかに散って大きな穴を空ける人、密かに消えてささやかな穴を残す人。
きっと、永遠じゃないから美しいんだ
車の音が、活動の声が聞こえてきた。外は明るくなってきていた。ベットに戻って布団に戻る。人はきっと、散って完成する芸術品だ。無いのだけど、確かにそこにあった。見えないけれど、心に残る。
なんだか涙が出そうだ。儚くて美しい、きっとそういう事なんだ。