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由起子の嫌がらせ
毎日、有る事、無い事を職場中にバラ撒いて、御手洗君に嫌われる様に続けた。嫌がらせに耐えられなくて、退職の危機に陥っていた。元気の無い睦子に気が付いた御手洗君が声を掛けてきた。そっか、由起子先輩がそんな嫌がらせを。僕がハッキリと直ぐ止める様に言ってやる。僕が好きな睦子さんに嫌がらせをするな。僕が好きなのは由起子先輩じゃない、僕が好きなのは、睦子さんだ~っと、職場中に聞こえる大きな声で言った。一瞬、皆の動きが止まった。睦子もポカ~ンと大きな口を開けたまま、御手洗君は席を離れた。だが、由起子先輩の嫌がらせは更にエスカレートして、耐えられず余儀なく退職した。後に御手洗君も左遷になったと、風の噂で聞いた。何故なら由起子先輩は社長のお気に入りだったからだ。儚い恋が終わったかに思った睦子だったが、何かの縁で再会するも、未だに睦子の夜尿症は治って無かったから淡い期待をしながらも軽い食事をして、その日は、お互いの連絡先を交換して次回の再会を約束してボロアパートに帰った。