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本当は好きなのに
相変わらず、睦子のおねしょは、一向に治る気配は無い。睦子は毎晩のおねしょに、苛立ち、罵るママの言葉を思い出した。何と言う事だ、自身のおねしょで苛立ち、ママの当時の気持ちを思うと、わぁー、ママご免なさい、何時も困らせてと思っても後の祭りだ。将来、恋愛して、結婚なんか出来ない。丁度諦めかけたその頃、同僚でイケメンの、御手洗君が真剣な顔で交際を申し込んできた。睦子も少し、タイプだったが、恥ずかしい癖、良い年しておねしょをする女性なんて嫌いだろうし、幾ら温厚な御手洗君でも幻滅するだろう。口が裂けても言え無い。ご免なさい、今はお仕事に集中したの。パパも厳しくて、本当にご免なさいね、と断って更衣室で涙した。職場でもイケメンで仕事も出来る人気者の交際を断るなんて。何時も意地悪で由起子先輩が偶然、盗み聞きしていた。あら、何様かしら、嫌味たっぷり言ってきた。何故なら、由起子自身も御手洗君に好意を持っていたからだ。