#5
「では、こちらの依頼書に必要事項を書き込んでください」
受付でアレックスが神殿からの紹介状を見せ、依頼をしたい旨を伝えたところ、受付嬢に依頼書を手渡された。
「綺麗な人ですね…」
「まぁ、受付や窓口ってのは、企業にとっての顔だからね。美人に対応されて嫌な気がする人間の方が少ないさ。容姿という能力が活きる職種って事だろ。ファンタジー風に言えばスキルか」
エミリーが美人の受付嬢に感心している横で、冒険者ギルドも結局は会社なんだと感じてしまう。
「向こうじゃ化粧ってスキルで容姿のステータスを上げるわけだけど、こっちには化粧以外にもそれ用の魔法があったりしてな」
伊達の言う事もあながち間違いでは無いだろう。魔法が存在する世界で、戦い以外には発展していないとは考えづらい。
「終わりましたぞ。あとは、依頼を受けてくれる冒険者を待つだけです」
書類を提出し終えたアレックスが振り向き、白い歯が輝く。
「待つって、どのくらいよ?今日中にこの街を出発する予定じゃなかったっけ?」
真田の言う通り、今日中にはパイレーツセブンの封じられていた街へと出発する予定になっていた。
「大丈夫ですよ。神殿からの紹介状がありますから、ギルドが急ぎで探してくれるそうです」
「さいですか」
アレックスの返答に、真田が肩を竦め、こちらを見る。急いで求人をかけるとロクな人材が集まらないと言いたいのだろう。派遣社員を雇う時に、よく聞く話だ。神殿からの紹介状が効くように願うしかない。
「とりあえず、飯にしよう」
神殿とギルドを回っているうちに、いつの間にか昼になっていたので、明智の言葉に異を唱える者は居なかった。
「僕、また昨日のお店がいいです!」
「今日中に出発できたら、次はいつ行けるか分からないし、そうしようか」
エミリーの希望に、真田が現状への嫌みも込めて答えた。




