エピローグ2
(ここは……?)
目を開けると、木造の天井が見えた。自分の家ではないのは間違いない。どうやら、どこかのベッドに寝かされている様だ。
腹の辺りに重さを感じる。そちらへ視線を向けると、アリスが俺の腹を枕に、座ったまま寝ていた。
(そういえば……)
俺は力を開放したせいで意識を失い、落下して行くところをアリスに助けられたのだ。彼女は、俺を看病してくれていたのだろう。
「やれやれ……」
こんな風に倒れる様じゃ、そうそう力を開放するわけにはいかない。体の節々が痛むし、肉体の方が負荷に耐えられない様だ。
「先輩!目が覚めたんですね!」
「おかげ様で」
「良かった!」
抱き付いてきたアリスを受け止め、頭を撫でる。
「俺は、どれくらい寝てたんだ?」
「三日も寝てたんですよ……。もう目を覚まさないかと思いました……」
「悪い……。ずっと、付いててくれたんだろ?ありがとう」
さすがに、これ以上眠るわけにはいかないので、起きる事にした。あの後、どうなったかも聞かなければならない。
アリスに手伝ってもらい、体を起こす。枕元に自分のスマホが置いてあったので手に取り、アイテム一覧からペットボトルの緑茶を二本とビリガーエクスポート マデューロを一箱取り出した。緑茶は一本、アリスに手渡す。
「ありがとうございます」
アリスが緑茶の蓋を開けるのと同時に、俺はビリガーを一本咥えて、火を着けようとポケットのライターを探す。しかし、スボンのポケットにライターは無かった。それは当たり前だ。普段、ライターは上着かコートのポケットに入れているのだから。
「どうぞ」
俺がコートを探してキョロキョロしていると、アリスが魔法で掌の上に火の玉を作って差し出してくれた。
「ありがとう」
煙草の味は着火する炎で変わるが、魔法の炎で着火したのは初めてだ。特に癖も無く、スムーズで吸いやすい気もするが、よく分からない。
「ところで、あの後、どうなったんだ?」
一息、紫煙を吐き出してから、アリスに訊ねる。
「パイレーツセブンは消滅して、捕らわれていた人々の魂は解放されました。黒田さんは、彼女さんとお話できたみたいですよ」
「じゃあ、一件落着か……」
「そうですね」
黒田の事はどうでもいいが、パイレーツセブンを倒せたなら良し。
「みんなは?」
「伊達さんと真田さんは帰りましたよ。仕事があるからって。本田さんも帰りました。『来た意味無かった~』って、文句言ってましたけど」
「あれ?明智は?」
「それが……」
アリスの話によると、実はミナは明智に気があったらしく、明智を新しい任務へ無理矢理引っ張って行ったらしい。それを見た原田が同行を申し出て、三人で西へ向かったとか。
「また修羅場か……。あいつも懲りないな……」
「どうします?追いかけますか?」
「どうするかなぁ……。放っておいて、また死なれても困るしなぁ……』
明智を追いかけて冒険に出るには、まだ体調が不安だ。しかし、放置するのも不安だ。
「伊達さんと真田さんが、『後はよろしく』って言ってましたよ?」
「あいつら……。アリス、悪いんだけど、また冒険に付き合ってもらえるか?」
「はい!」
こうして、俺達は西を目指して旅立つ事となった。




