#40
「前に聞いた、前世がどうとかって話だろ?そんなの何でもいいでしょ。お前はお前だろ?」
伊達がタバコを携帯灰皿で消しながら、首を傾げた。あまり気にしていない様だ。
「それなら、俺も聞いたっけ。ホントだったの?何かスゴい力とか使えるの?」
真田は、期待に満ちた目を向けている。
「それより、この船を何とかできるのか?」
明智は葉巻を咥えたまま、爪先で甲板を叩いた。
みんなの反応は意外だが、彼ららしいとも思える。ありがたい事だ。
「まぁ、勇者辞めれば、この程度のモノを吹っ飛ばすくらい余裕かな」
「じゃあ、辞めちゃえよ。雇用契約で言えば、この前の吸血鬼を倒せば契約は終了のはずだし、報酬として明智も帰って来たんだから、いいだろ別に」
伊達が、事も無げに言う。
「だよねぇ。今はタダ働きみたいなもんだし」
真田も、伊達に同意した。
「ちょっと、みなさん、勇者をそんなアルバイトみたいに言わないでください……」
アリシアは、呆れ顔だ。
「じゃあ、何か報酬貰わないと」
真田が、肩を竦めるジェスチャーをして、アリシアに返す。
「そうだ!俺が勇者を抜ける代わりに、一人入れたいヤツが居るんだよね。ソイツを勇者にしてくれる?」
「ハァ……、大天使様と相談してみます」
俺の提案に、アリシアは溜め息を吐いて肩を落とした。
「それって、今川だろ?大丈夫、あいつ?」
真田が心配そうに、訊ねてくる。
「大丈夫。俺が貰ってない分の加護があるから、それを今川に回せば、あいつも勇者になれる」
「それならOKだね」
「次に冒険に出る時に、いきなり巻き込もうぜ」
「それ、いいね!」
真田が、良い笑顔で親指を立てた。
明智と伊達も、親指を立てる。
アリシアは、綺麗な顔に渋い表情を浮かべていた。
「じゃ、そのためにも、とっとと片付けますか」
目を閉じ、精神を集中し、この世界のマナと自分の魂を同調させる。段々とマナが自分の中に流れ込み、自分の内側から強い力が溢れ出す。体の中心から光が爆発するイメージと共に、閉じられた瞼の内側の視界が白くなった。




